俗物賛歌

その鉄の包みから見えてくるのは、立ち並ぶビル、終電の真っ暗闇だったり、

陳腐で真新しい今日ってやつを知らせに来る陽だったりと様々。

車窓から広がっているのは、同じ日に生きただけの純然たる事実だけなのに、

みんな別々に色付けされている窓から眺めてるから、純白の理想は不在。

握りしめたスマホで撮った写真は私色に見えるね。

それを連ねてストーリーを作ろう。

楽しい写真を集めて集めて、

傷つけぬよう傷つかぬように製本したら、私という人間の出来上がり。

そいつを世間って棚に並べて品評会。

もろ手を挙げて行われた社会契約はそれぞれの自由に窒息したよ。

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