第469話 ジョブホッパー⑧

玲奈さんは、覚醒者が登場してからの地球での価値観が以前とは全く変わったと語っていた。


覚醒者は謎の粒子を吸い込んで、体内に馴染んだ者の事で、様々な能力を持った者たちが誕生したのだ。


「覚醒者が登場した当初は、謎の粒子が何なのか皆が分からないけど、恩恵が凄かったので皆、気にもしなかったのですが、今ならばあの謎粒子が何なのか分かります」


「それは?」


「神の欠片から放出される真素です」


「え、真素ってこの世界に広まってるものと同じもの?」


「はい、この世界には現在、神々が降臨していますから、通常ではあり得ない程に真素で満たされています」


「という事は真素って魔素の神のバージョンみたいな感じですか?」


「ああ、レイさんの居た時代では魔素が溢れているのですね……魔素は魔神の持つ神性力が劣化したもので、その他の神々が持つ神性力が劣化したものが真素です。そして、本来なら【魔導】は【……】様の持つ神性力を薄めたものですが、覚醒者もこの世界に異世界転生すると【魔導】に似た【魔道力】を使える様になります」


え?


「【魔導】は誰が持つ神性力なんですか? 名前が聞き取れなかったんですが……」


テレーザのほうも見てみたけど、テレーザも分からなかったのか首を振っていた。


「【……】様の名前が分からないという事は……なるほど。それならばレイさん達にはまだ資格が足りないんだと思います。ですが、今はまだ知らなくても大丈夫です」


何となくだけど、玲奈さんの口振りだと知らない方が自分達の為である様な感じだったから、深くは聞かない方が良いんだろうな。


「分かりました……それで【魔道力】と【魔導】は何が違うんですか?」


自分のは【魔導】だというのは分かるけど、違いが分からない。


今までは【鑑定】でしか知らなかったから、【魔導】に種類みたいなものがあるという考えにすらならなかった。


「詳しくは言えませんが、私のが【魔道力】で、レイさんのが【魔導】です。そして、レイさんは【魔導】を活用した【魔導術】が使えますが、私は【魔導術】が使えず、【魔道力】をベースにしたスキルが使える感じです。まあ、覚醒者の時の能力がそのままスキルになった感じなんですけどね」


分かったような、分からないような……。


謎が謎を呼ぶ感じだな。


「あれ? でも僕は【魔導術】が使えないけど?」


これでも【魔導】に関して頑張ってきたし、【超魔導操作】とかも使えるけど、【魔導術】ってスキルは無いんだよな。


まだ努力が足りないのかな。


それとも実戦経験か?


「その問題は今後に解決しましょう。その前に話の続きを終わらせましょう」


そして、玲奈さんは一部の覚醒者への不信感やオリジンゲート攻略の話をし始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る