第467話 ジョブホッパー⑥
「この部屋も凄いね……」
自分達は【セントラルタワー】の管理棟と呼ばれる45階建て高層ビルの45階にある広い応接室に来たのだけど……質素なソファーとテーブルが中央に設置されており、作業机、大量の資料?が並べられた棚が並ぶのを見ただけならば、懐かしのオフィスって感じだが、自分が驚いたのは、壁一面にある100以上はある映像が映された画面だった。
「この部屋では【セントラルタワー】の全ての映像はもちろん、人類の生存圏内の様々な映像が見られるようになっています」
「確かに……街中の映像とか戦場の映像まで……この時代にこんな技術が……」
自分もスキル効果によって、【魔導工房】とかあるけど、未だにパソコンみたいなものは禁忌により作れていない……あれ?
「そう言えば、禁忌は?」
「そうですよね。私も何で禁忌に触れないのか疑問でした」
テレーザもその事に気が付いていたのか、すぐに同意してきた。
「禁忌とは?」
ん?
玲奈さんは禁忌について知らないのか?
自分は未来には聖教会があり、近代科学に近い物は禁忌とされ、違反者や違反物は神の代行者として【魔王】や【聖人】が来て破壊してしまうと説明した。
「……この時代に聖教会というものはありませんし、禁忌もありませんが神様は科学技術が世界に広まるのを好まないのは確かです。しかし【セントラルタワー】は神様も容認されていますから大丈夫です」
「そうなんだ……って、神様と会ったことあるの?」
「はい。異世界転生者は皆、神様に会っている筈です。そこで転生理由を聞いたりするんですが……覚えてないですか?」
「はい。覚えて無いんですけど、何でですかね?」
「……きっと【ジョブホッパー】の影響かと思いますが、その説明は後半にしますね。あと席を少し外しますが、ここでお待ちください」
「分かりました」
いろいろと気になるワードがあるけど、後で教えてくれるっぽいし、待つ事にした。
そして、玲奈さんが部屋から出た後、テレーザが自分に質問してきた。
「レイ、異世界転生者とか、地球って何なんですか?」
「まあ、そうなるよね……玲奈さんが戻って来るまでにざっくり説明するよ」
自分はテレーザに、地球という異世界の知識がある事を簡単に説明し、しかし前世の記憶は曖昧だったりするのも伝える。
「……私の頭では全てを理解するのは難しいけど、これでレイが他の人とは違う理由が分かって納得しました」
「なんかズルしているみたいだよね」
異世界の知識を使っているから、現地の人からしたらズルしているみたいに見えるかもしれないな。
「私はズルしているとは思いませんよ。それにレイは凄く努力しているじゃないですか。だから私のレイに対する評価は変わりませんよ」
「そっか、ありがとう」
テレーザに努力を認めて貰えたのはなんか嬉しいな。
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