第466話 セントラルタワー

「凄いところですね……」


自分の目の前には地球では当たり前の様に建っていた高層ビル群を久しぶりに見て驚いていた。


「こんな見知らぬ高さの建物がたくさん……」


自分ですら驚いているのに、地球を知らないテレーザからしたらカルチャーショックだろう。


いきなり文明レベルが数百年はぶっ飛んだみたいなものだからな。


自分とテレーザは、玲奈さんに誘われるままに【セントラルタワー】という場所まで跳んできた。


跳んできたというのは飛行機や空飛ぶ魔法では無く、玲奈さんの使った【空間跳躍】が使える【ぴょんぴょん君マークⅢ】という【魔導具】を使って一瞬にして跳んで来たのだ。


自分も似たことは出来るが、他人が使うのは初めて見たから、仲間がいたと思うと少し嬉しくなる。


「ふふ、ありがとう御座います。これらのビル群を作るのは大変でした」


「この都市の何処かに【セントラルタワー】があるのですか?」


確かに高層ビル群はあるが、【セントラルタワー】と言われる様なデカイ塔は見当たらなかった。


【セントラルタワー】というから中央に他の高層ビルよりも高い塔があるのかと思ったのだが……。


「ああ、違います。もうここが既に【セントラルタワー】なのです。この私達が立っている場所が地上200mの高さにある超巨体タワーの支柱上に造られたプレートなんです」


「え、この地面が既に200mの位置にあるの?」


マジか。


見た感じでも100m級以上の超高層ビルが5棟はあり、他にも50m以上級が10棟以上は建っているのに……これが200m上空?


なにその地球ですら無かった超技術は……


「あ……確かに空の感じが違いますね……」


テレーザは上空を見上げながら放心状態に近い状態で呟いている。


まあ、そんな状態になるのは仕方ないだろう。


自分ですら聞いただけでは、まだ納得が出来ていないレベルで常識外の超技術であった。


「私がお兄様に見せたかったものリストの1つが今叶いました。ふふ、お兄様の記憶が戻っていれば更に嬉しいですが、仕方ないですね」


「見せたかったものリスト?」


「はい。地球でのお兄様が作成したマスターブックの中でも地球では再現不可能なファンタジーアイテムを再現した物達が見せたかったものリストです。その中でも特Aランクの……」


「ちょ、ちょっと待った! そのマスターブックって……?」


何故かは分からないが、一瞬にして冷や汗が出てきたぞ。


「ああ、これはお兄様が幼少期より書き留めたとされるノートで、【暗黒魔闘術】や【オルタナティブブラッドアーマー】、【エターナルシップ】……そして【セントラルタワー】の基礎概念と発展案……更には」


「あー!!! ストップ!!」


超思い出した!


それって自分がストレス解消の為に、密かに書き留めていた中二病が満載の黒歴史ノート!!


名前を聞いただけでも恥ずかしい!!


「その内容は話さなくて良いよ!」


「そうですか? では……【セントラルタワー】の管理者棟に行って話の続きをしましょう」

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