第464話 ジョブホッパー④
「まず、私達は……」
自分とテレーザは、玲奈さんの話す地球の話を聞いていた。
麻藤深夜には同じ年齢だけど母親の違う玲奈とエリという超天才な妹が二人いて、深夜の母親は玲奈を産んだ時に亡くなり、父親も事故で亡くなり、エリの母親は失踪。
三人の兄妹で頑張って生活していたらしいが、深夜は小さい頃から才能を開花していた世界的に有名な妹達に比べると無能だと様々な人に言われ、うちに篭もる性格になっていたらしい。
天才な幼馴染がいた自分よりも酷い状況だなと思った。
「あ、誤解しないで頂きたいのですが、私達姉妹はお兄様の事を凄い人だと思っていましたし、頼りにもしていました」
「話を聞いている限りでは、超天才姉妹から凄いと言われても深夜さんも……」
超天才から凄い人と言われても、更に卑屈になりそうなきがする。
僕なら卑屈になりそう。
「私達が凄かったのは、エリは身体能力でも筋力に特化していて、力と速度に関しては超人的な感じでしたが、器用さはあまり無かったり、私の場合は記憶力と演算能力に特化していたので、様々な問題を瞬時に解決したりはしましたが、私自身が何かをゼロから創り出す事は苦手だったりするんです」
「なるほど……」
このファンタジー世界ならまだしも、地球で何かの能力に極振りした人は凄まじいんだろうな。
「ですが、お兄様の凄さは独創的な創造力と器用さで、お兄様の本来の学力や身体能力ならば常に学校でトップ成績を出せる力があった筈なのですが……周りや親から無能だと小さい頃から言われていたせいで本来の力を全く出せていなかったんです。それに私が発明したとされる革新的な発明品などの全てはお兄様との会話から生まれた物だから、発明者はお兄様だとみんなに言っても、誰も信じてはくれませんでした」
「聞いてる限りでは麻藤深夜さんとレイは独創的な創造力と器用さって点では似ているわね……ただ身体能力は……ねぇ?」
テレーザは頷きながらひとりで納得していた。
「確かに身体能力は無いけどさ……」
麻藤深夜は身体能力もハイスペックなんじゃないのか?
「ああ、それは現代地球からの異世界転生あるあるなんですが、実は異世界転生者で身体能力が低いのは、ほとんどがメンタル面の問題なんです」
「え? メンタル?」
身体能力とメンタルって……どういう事だ?
「はい。現代地球からの異世界転生者のほとんどは自分で無意識的に身体能力を制限してしまうんです」
「なんで?」
「私の調べた所によると、無意識的に身体を破壊しない様に脳内セーブが働くらしいのですが、それは地球での肉体の限界であって、こっちの世界では肉体の限界は更に上にあるという事です」
「なるほど……じゃあ、僕も身体能力を上げられるって事?」
「……すいません」
「えっ!? 何ですいません!?」
「私の研究では、脳内リミッターを安全に外せるのは3歳まで……お兄様の希望でしたら頑張りますが……脳に後遺症が発生する場合が……やりますか?」
「後遺症!? 怖っ!?」
「やりますか?」
「いやいや!! やらないよ!」
身体能力を上げられるならとは思ったけど、後遺症って言われたらやりたくない。
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