第462話 ジョブホッパー②
自分はシンディさんに【魔導】を流していくと、いろいろと人族とは身体の造りが違う事が分かった。
まずシンディさんの身体には心臓が無い代わりに【魔石】の様な石が内蔵されていて、その石から身体全体に【魔導】が流れていたので、予想以上に【魔導】の流れがスムーズだった。
しかも身体全体に流れる管などは自分が作ったセシリアとほとんど一緒というのが分かった。
これは偶然か?
真素生命体というのも似ているし、偶然とは思えないけど……でもこの世界は過去で、自分がセシリアを作る時には何かを参考に作った訳ではないから……やっぱり偶然なのかな。
なんとなくしっくりとしないな。
「あっ! レイ、反応でもあったよ!」
自分は目をつぶりながら【魔導】を流すのに集中していたから分からなかったけど、どうやらシンディさんに反応があったみたいだ。
「あ、あ……ここは……?」
「あ、やっと反応があったね」
「シンディさん、何があったかは覚えてないですか?」
シンディさんは上体を起こすと周りを見渡し、状況確認をしていた。
「ふむ……ここは……なるほど、異世界か?」
「え?」
異世界?
「ここは地球ではないのだろう?」
どういう事だ?
何でシンディさんが地球を知ってるんだ?
「どうなんだ?」
「えっと、ここは地球ではないです。シンディさんは何で地球を知ってるんですか?」
「それはだな、私が地球で造られた……ん? もしかして君は麻藤深夜か?」
「麻藤深夜?」
まとうって日本人の名前かな?
「違うのか? 見た目は違うが魂が深夜と似ているのだが……」
「あの……レイ。異世界とか地球って何なんですか?」
テレーザには地球とか分からないだろうし、異世界が存在しているのも知らないから、シンディさんがなにを言っているのか分からないだろう。
「ああ、ごめんねテレーザ。詳しくはあとで説明するよ。ちょっと説明すると長くなるかもしれないからさ」
「……分かったわ」
地球ってワードが出てきたし、テレーザには地球の話もしなくちゃ駄目だろうな。
「それで、シンディさんは……」
自分はシンディさんが金ピカの鎧を着て襲ってきた経緯や邪神族だったり、撃破したらシンディさんが出てきたとか説明した。
★
「なるほど。私にはキングレッツ・オブ・ゴールデンだった時の記憶は無いな。しかし迷惑をかけたみたいだ、すまない」
「いえ、街への被害も無かったし、記憶がないなら仕方ないですよ」
まあ、自分の攻撃の余波で街に被害が多少は出ているのは黙っておこう。
「そうか。しかし、ここが異世界となると、玲奈もいないのか……? 私が目覚めたら深夜が近くにいるはずと玲奈がいっていたのだが……」
「あの深夜とか玲奈って誰なんですか? 深夜って人が僕に似てるんですか?」
話の流れだと2人は地球の人だよな。
それならこっちの世界にいるとは思えないが、何故かその名前を聞くと気になって仕方がなかった。
「ふむ、2人は私の弟子なんだが。む、ちょっと待ってくれ……この世界に玲奈がいるな。ちょっと交信をするから待っていてくれ」
「分かりました」
玲奈って人がこっちにいる?
という事は異世界転生者じゃなくて、異世界転移者なのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます