第458話 キングレッツ・オブ・ゴールデン⑥

【マスター、マドウレーザーサイジュウデン、カンリョウ】


自分の脳内に魔導レーザーの準備が完了したという機械音声が聞こえてきた。


「テレーザ! 5秒後に魔導レーザーを撃つから全力で離れて!」


「分かったわ!」


自分は金ピカのいる足元の地面を操り、金ピカを落とす巨大な落とし穴を作る。


「ゴル?」


「よし」


巨大な落とし穴は直径5m、深さ30mはある大穴で、この土地の何ヶ所かに自分だけ発動させられる落とし穴を作っていた。


そして金ピカは見事に穴へ向かって落ちていった。


まあ、これでも数秒しか時間は稼げないだろうけど、逃げるには十分だ。


「レイ、掴まって」


「うん」


自分はテレーザの手を取り、外骨格に抱きつくと、テレーザは自分を抱えながら超高速でその場を離脱した。


ドゴーーーン!!


自分達が離脱した3秒後には金ピカに向かって、高出力な魔導レーザーが放たれた。


「これで倒せたら良いけど……」


「倒すのは無理かな。だけど、ダメージはそこそこ入ってるんじゃないかな?」


流石にあの高出力な魔導レーザーをまともに食らったんだから……


「そうだと嬉しいわね……あっ」


金ピカは巨大なクレーターになった地中から飛び出すが……。


自分はすかさず【鑑定眼】を発動させ、脅威度を調べるが全く減っていない事に驚く。


「くっ、無傷か……【圧縮固定】! テレーザ、僕を金ピカの場所まで連れていって」




「レイ、これはどうしますか……アレですら倒せないとなると、私達には倒す手段がないのでは? ずっとレイが足止めしている訳にも……」


「そうなんだよね……」


魔導レーザー砲により金ピカを倒せてないのは分ってはいたけど、まさかほとんどダメージが無いのは想定外だった。


予定では、自分とテレーザの二人で戦えば倒せる位のダメージがある筈なのに……何かしらのスキルが影響しているのか?


煌めく闘志……戦う意志がある限り倒れない。

黄金の狂乱……究極鎧化時に身体能力が12倍。

       自我が黄金に呑まれる。


の2つのスキルが怪しいが、これだけでも倒れない超強力なバーサーカーが出来上がる。


「ゴルッ!!」


金ピカは圧縮固定されながらもゆっくりだが、動き出す。


「くっ、ゼロ距離からの圧縮固定なのに、まだ動ける訳……あ、もしかしたら」


「何か気が付いたの?」


「こいつは、中身がそもそも普通の肉体では無いのかもしれない」


「えっ!? お、オバケ?」


テレーザは相変わらずオバケが怖いんだな。


金ピカがオバケかと勘違いして、顔が引きつる。


「いや、オバケではなく……液体生命体みたいなやつかも」


「ああ、以前にレイが研究していた魔導生命体のひとつのやつか」


「うん、あの魔導液体生命体も自我は無かったけど、圧縮固定があまり効かなかったから鎧の中身が……」


自分は圧縮固定しながらも、金ピカの鎧に触れ……


「【深淵魔導術・地獄門】!」


自分が指定した範囲内の真素を亜空間に吸い込ませ、真素が全く無い状態にする【深淵魔導術】を発動させる。


く、やはり自分の身体も半分は真素で出来ている様なものなので、長期間使えば自分の身体も崩壊してしまうな……


「ゴ、ゴル……」


金ピカがピタッと止まると身体が砂の様に崩れ始める……やっぱり。


「倒したの!?」


「いや、表面を剥しただけだよ……」


ここで、地獄門の発動を止める。


5秒発動させただけなのに、自分の身体はボロボロになっていた。


深淵魔導術は強力で便利なのだけど、発動中に攻撃されたらアッサリと死んでしまうリスクがあるので、あまり使えないんだよな。


さてと……


「【魔喰】発動!」


自分は【魔喰】を発動させ、金ピカのコアを体内に取り込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る