第456話 キングレッツ・オブ・ゴールデン④

自分とテレーザは取り出した金属の塊に触れ「鎧化」と唱えると、金属の塊が一瞬にして身体に纏わり付き、全身金属鎧へと変化した。


【魔導神装外骨格】魔導神装の展開補助、出力強化、各種武装補助を備えた強化外装。


【無天真装外骨格】真装“神鎧”の展開補助、出力強化、神鎧による肉体負担軽減、対物理衝撃軽減を備えた強化外装。


自分専用の強化外装である【魔導神装外骨格】と、テレーザ専用の強化外装である【無天真装外骨格】。


この2つは何度もの試行錯誤の結果、完璧ではないが、今ある素材の中では最高傑作なのではないかと自負していたが、唯一の欠点は街が近いと、魔導レーザー砲と一緒で、一切の手加減が出来ない為に、街に甚大な被害を与えてしまうのだ。


その点、このポイント12は街に被害を出さない上に地面は人工的に固められ、どんなに激しく闘っても崩壊はしないだろう強度に改造するため、長年かけて作ってきた場所なのだ。


ここならば全力を出せる。


「【無天真装外骨格】を着るのは久しぶりね」


「まあ、着ないといけない状況にはなりたくないからね……」


自分は【ストレージ】から、6本の全長3mはある無骨な刀を取り出す。


この無骨な刀は、【真狼刀】という愛狼のフェリの生え変わった牙を特殊加工して作った刀で、斬れ味よりも真素伝導率と自分との相性を優先して作られた愛刀達だ。


「その刀を見ると、フェリを思い出すわね……この地を去ったフェリと会えないのは悲しいわ……」


テレーザは刀を見ながら、悲しげな表情をする。


「いや、フェリが死んだみたいな表現だけど、フェリは死んでないからね!? むしろ元気過ぎというか、デカくなり過ぎて街には入れないから、別のお願いをして近くにいないだけだから!」


「わ、分かってるわよ! ただ、あの毛並みのフェリが近くに居ないのは残念なだけよ」


ああ、なるほど……テレーザはフェリの極上の毛並みの上で寝るのが好きだったからな……


「ゴルッ!!!!」


「あ、もう金ピカが来たのか……」


金ピカがドスッ、ドスッと音を出しながら走って来るのが見える。


「このポイント12には加重の呪いが効いてるのよね?」


「うん、敵対心のある人には5倍の重量負荷の呪いが半径1キロに渡って広がっている筈なんだけど……」


「効いてないわよね?」


テレーザが言うとおりで、金ピカは呪いの範囲内にいる筈なのに、気にせずに走って来る。


「うん……効いてないかも、何でだ?」


可能性としては、自分達に敵対心が無いか、そもそも重量が無いか……あとは既に呪いがかかっているから、追加の呪いは無効化されるとか?


「ゴルッ!!!!」


「は?」


金ピカは自分達から離れた距離で叫びだすと、上空に巨大な亀裂が走り、亀裂からは黄金色の巨大な剣が大量に現れ、金ピカの合図と共に黄金色の剣は自分達に向って飛んできた。

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