第455話 キングレッツ・オブ・ゴールデン③
「ゴールデーン!!」
「は?」
僕は咄嗟に【ストレージ】から自分で作ったものの中で1番硬い【新グラニエル板】と取り出し、金ピカとの間に置き、盾として使う。
ボゴンッ!
うへ、1番硬い金属板が金ピカのパンチで、ベッコリと凹む。
テレーザですらここまで凹ますには数時間はかかるんじゃないのか?
ボゴンッ!
「ゴール…」
「また!」
僕は至近距離で真素を圧縮し、金ピカの身体を固定させる。
さっきの遠隔操作ではなく、ほぼゼロ距離からの圧縮固定なので、流石の金ピカでも微かにしか動けなくなっていた。
「やぁああ!」
ガゴンッ!
自分が金ピカの動きを止めたと同時に、テレーザは聖光気を纏った身体で金ピカの頭を殴るがビクともしない。
「まだまだ!!」
ガゴンッ!ガゴンッ!ガゴンッ!ガゴンッ!
テレーザは金ピカの動きが止まっているチャンスを見逃さず、一発では駄目ならばと、突きや蹴りを連続して叩き込む。
自分はその殴られている金ピカを【魔導眼】で確認する。
……なるほど。
テレーザに殴られた箇所は刹那の間だが凹んでいるが、その凹みも一瞬で元通りに戻ってしまう程の回復力が金ピカにはあるみたいだ。
あの魔導レーザー砲も実は無傷だったのではなく、瞬時に回復していただけかもしれない。
そうなると、一撃で倒さなくてはいけなくなるが……魔神族の心臓にあたるコアがどこにあるのか、確認して見る必要が……
「ゴ、ゴルッ!!」
ズバッ……
「ゲハッ……」
圧縮固定していた金ピカが突然動き出し、テレーザではなく自分に対してパンチを繰り出して来たのを、【魔導眼】により回避したが脇腹を少し掠めただけだったのに、脇腹の一部が吹き飛んでしまい、自分は吐血する……
「レイ!?」
「だ、大丈夫……下がって」
テレーザは自分の言葉で、攻撃をすぐに止めて下がる。
それを確認すると、自分は【ストレージ】から、先ほどの【新グラニエル板】と同じ【新グラニエル鋼材】で作った特殊檻を金ピカの周囲に展開する。
ズドーーン!!!
【新グラニエル鋼材】は自分が作った中で最高レベルの硬度で、一見として武具などに使えそうだが、欠点があり、超絶重たくて、【新グラニエル板】はテレーザですら持ち上げられない位の重量で、硬すぎて加工するには超高温で溶かさないといけなく、移動させるのも【ストレージ】を使わないといけないのだ。
これならば多少の時間稼ぎにはなるだろう。
「レイ、離れるわよ!」
「……ああ、アガっ!?」
テレーザは自分を抱えて金ピカから離れる際、強引に引き寄せたのとテレーザの怪力が合わさり、金ピカに攻撃された以上の痛みが全身を走る。
「我慢して!」
「だ、大丈夫……逃げる方向は、ポイント12にして」
「ポイント12ね。解ったわ」
テレーザは頷くと、すぐに街とは反対側に向かって走り出す。
これで金ピカが街に向かってしまわれたら、全ては終わりだが、自分の予想では金ピカは呪われており、勝負がついていない敵を見逃す事は出来ない筈だ……。
「それにしても、あの金ピカはなんなんだろうね。他の魔神族とは明らかに違う気がするんだよな……」
「私達も絶級対策はしてきたけど、アレは絶級を超えてる気がするわ。ポイント12についたら私もあの武装を使うから出してね」
「了解、お互いに出し惜しみしてる場合では無いからね」
この8年間の集大成をこんなところで使う事になるとは……
★
「ポイント12に着いたわ。傷の具合はどう?」
金ピカと交戦した場所から2キロくらい離れた真っさらな大地の中心地であるポイント12に着くと、テレーザは自分を下ろしてくれる。
「ああ、ほとんど治ったよ。【クリーン】」
あれ位の怪我ならば、【魔導の福音】なしでも数分もしないで完治するが、痛みだけはどうしょうもないんだよな。
あとテレーザが自分の血で血塗れだったので、【クリーン】を使いお互いの血を消し去る。
「ありがとう」
この血を消し去る作業は、綺麗にする以外にも意味が……
ドドドドッ!!!
「あの檻からもう出てきたなんて、ホントに異常な敵よね……」
「上級魔神族ですら一生出てこれないレベルの強固な檻なのにね」
そう言いながら、自分は【ストレージ】からふたつの巨大な金属の塊を取り出す。
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