第451話 変異魔神族

自分達が街中を散策し、夕方になった辺りでテレーザは魔神族の気配を感知した。


「レイ、向こうからもの凄いスピードで向かってくる魔神族がいます! この速さは……」


テレーザの焦りが伝わってくる。


「そんなに速いのか。そうなると……かなり強いかもしれないね」


魔神族にはある特徴というか性質があり、ほとんどの魔神族はバランス型なのだ。


よく襲撃してくる魔神族は、魔狼族や魔猪族、小鬼族など様々な種族がいるが、どの種族もスピードが速ければパワーも強いなど、何かに特化したタイプはいなかった。


それは魔神に由来するのだが……それよりもテレーザが焦るほど速いって事は、その魔神族は今までの低級魔神族とは違い、きっと中級以上の魔神族だろう。


ちなみに、低級、中級、絶級、獄級と人類が勝手に区分けしているのだが、以前に何とか倒したサテラですら絶級なのだ。


獄級は人類が倒せるレベルではない魔神族って事で、遭遇したら死が確定。


絶級や中級ならば、遭遇したらとにかく逃げろと言われる。


要は低級以外は逃げろって強さなのだ。


「あと10秒もしないで街の外壁に入ります。どうますかレイ?」


予想以上に速いな……。


「どちらにしろ逃げられはしないから、アレを準備しておくかな」


どれくらい強いかは分からないけど、絶級だとかなり厳しい戦いになる筈だから、出来る準備はしておかないとな。


「アレって……アレを使う気なの?」


テレーザはアレを使うというと微妙な表情をする。


明らかに嫌そうだな。


「うん、使わないに越したことはないけど、いざという時は使わないとなと考えてるよ」


「分かった……アレを使うときは事前に教えてね」


「それはもちろん……」


ドガン!!!!!


地震が起きたかの様な地響きが身体を襲った。


「うおっ……外壁の結界に直撃したな」


普段なら街の外壁に到達する前に魔神族を討伐しているから、なかなか結界が揺れる事は無いけど、今回の魔神族は速すぎたから結界に到達してしまったのだ。


……それにしても結界の衝撃が予想以上にデカイな。


「体当たりしたみたいね……」


「体当たり? あの衝撃だとボロボロになってたりする?」


街に張られている結界は本来の結界とは違い、自分がこっそりと勝手に改良しており、魔神族の攻撃を2倍にして反射する機能を付けたのだ。


だからあれほどの衝撃があるって事は、アレの2倍ダメージが魔神族にも追加ダメージとして与えられているはずだ。


ならば魔神族にも相当なダメージがいってる筈だ。


「体当たりとかちょっと馬鹿っぽいけど……衝撃にも耐えられる耐久力があるみたいね。私は足止めをしてくるわね」


「うん、僕はアレの準備をしたらすぐにかけつけるよ。あとコレも使って」


自分はテレーザに最新【魔導具】の腕輪、【絶対防御・雅】を渡す。





絶対防御・業


腕輪を付けた装着者を10分間だけ高密度な多積層真素壁を貼り、鉄壁の守りをしてくれる。


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