第450話 ジュピリアス散策②
自分達は行列のカフェに入店してびっくりしていた……。
「お帰りなさい! ご主人様!」
「えっ……え? レイ、これって?」
テレーザは予想外な美女店員の対応に戸惑いながらこちらを見てくる。
まあ、普通のカフェだと思って、これが来たらびっくりするよな……。
「あ、ああ。ここはメイドカフェだね」
「メイドカフェ? あっ、昔にレイがやっていたメイド喫茶に似てるね!」
「あれ? テレーザが何で知ってるの?」
確かテレーザはあの場に居なかった筈だけど……
「えっ、私もあの場に居たよ? 忘れちゃったの?」
……そうだったかな?
昔の事だから記憶が曖昧なのかな?
「ごめん、僕の勘違いかも」
自分はちょっと記憶に自信がなかったから、テレーザに謝っておく。
「いや、私もうろ覚えだから……」
「あの……ご注文はよろしいですか、ご主人様」
メイド服を着た女性店員は申し訳無さそうな表情で注文を聞きに来た。
「ああ、悪いね、すぐに注文するよ」
行列のできた店でノンビリするのは気まずいから、メイドカフェの王道ってメニューをいくつか注文していく……あれ?
「あ、この最後にあるシンヤスペシャルとレイナスペシャルって何?」
このふたつだけ値段設定が激しく高いんだけど、メニュー内容の説明が全く無くて、メニュー名と値段しか書いてなかった。
ここまで露骨に別枠扱いされると逆に気になるんだけど……。
「えっ、本当に読めるんですか?」
「ん? 読めるっどういうこと?」
自分は女性店員の言っている意味が分からなかった。
別に他のメニューと違う言葉で書かれてる訳でもないし、どういう意味なのか迷っていると、メイド服を着た別の女性店員が自分達の席に来る。
「ご主人様、おめでとうございます。そちらのメニューを読める方には、初回限定ですが全品無料サービスをおこなっていますので、どうぞ時間は気にせずにお過ごし下さい」
「全品無料サービス! 本当に良いの!?」
テレーザは、全品無料サービスと聞いて目を輝かせる。
「は、はい。全品無料サービスとさせて頂きます」
あ〜あ、お店は大丈夫かな?
テレーザは細身の長身である見た目からは考えられない程の大食いで、胃の中にストレージでも入っているのではと思える位に食べるのだ。
しかも、不老になってからは更に食べるようになり、軽く100人前は食べるくらいなのだ。
「じゃあ、メニューにある商品をとりあえず全て10セットお願いします」
「えっ? 全て10セット?」
女性店員の目が点になる。
ふむ……本当に驚くと人って表情が無くなるのかな。
「はい!」
「……あの一応食べ残しは無いようにお願いしたいのですが……」
「大丈夫です!」
女性店員はテレーザの発言をしっかりと聞いていなかったみたいだけど、テレーザは「とりあえず全て10セット」と言ったのだ。
という事は、テレーザ的にはまだジャブの様な様子見注文なのだ。
★
……普段は食事量をセーブしていたのかなって位にテレーザは食べた。
テレーザにはあとで、普段ももっと食べても大丈夫だよと伝えないとな。
自分の使う食材は、魔導工房内にある複製室で真素を使って複製したものだから、元となる食材は必要だけど、食材はストレージに入れて保存しているから腐らないし、真素は空気みたいなものだから、実質タダみたいなものなのだ。
しかし、テレーザのお腹は細いままだ……。
謎過ぎるな……。
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