第447話 ジュピリアス防衛戦④
ジュピリアス防衛戦が始まって2年が経過していた。
防衛戦はジュピリアスに限らず聖都を中心とし12の都市で行われており、魔神族が聖都に張られた超強固な結界を破るには12都市に設置された結界のコア的なものを破壊しなければいけないという事に気付いてしまった事で発生してしまった。
聖都からは魔神族にダメージを与えられる【魔導具】が貸し出され、騎士団や冒険者、それらに属さないフリーの自分たちみたいな傭兵にすらお金さえ払えば借りる事が出来た。
ちなみにこの貸し出されている【魔導具】、自分も借りて解析してみたけど、原理は単純で【魔結晶】を砕いて金属と混ぜ、武器として打ち直しただけのもので、魔神族のコアならば魔神族にもダメージが入るというものだった。
この【魔導具】を作ったのは、きっと聖都に居るとされている魔導王なのだろう。
【魔結晶】を粉状にして金属に混ぜるって、自分と全く同じ発想をするんだなと思った。
魔導に関わる人は何かしらの共通点があるのかな?
一度、同じ魔導に関わる人として会って話してみたいとは思うけど、現在は聖都への流通などかなり厳しく制限されていて、自分たちみたいな謎な身分では聖都に入るのは無理だった。
「レイはまた家を改造してるのですか?」
「ん? ああ、お菓子やラーメンとかの自動販売機を作ろうかなと思っていてね。どうせなら道に面した壁の半分を自動販売機専用に改造しようと思ってるんだよ」
自分とテレーザは傭兵として稼ぎながら、暇な時は飲食の屋台をやったりして稼ぎ、3年前にジュピリアスの商業地区に広めの土地を買い、あっという間に家を建てて、一緒に同居生活をしていた。
「その自動販売機って?」
「う〜ん、人の代わりに物を売ってくれる機械かな」
「えっ!? じゃあ私の売り子としての役目は終わり?」
「いや、自動販売機は僕達がいない時に販売してもらう為のものだから、屋台は一緒にやるよ」
「屋台にも自動販売機を使えば私は……」
「いやいや、屋台に自動販売機って……」
「?」
自動販売機って自分の中では生まれる前からあったから、知らない人に物を教えるのって難しいな。
しかし、屋台に自動販売機って凄い発想だな。
移動式自動販売機みたいなものか?
……自動走行機能を搭載した自動販売機とかなら有りなのか?
自走自動販売機?
意味がわからないが、何となく売れそうな気もするな。
「……戦場に自走自動販売機を走らせてポーションを売るとか、儲かりそうだな」
「その前に襲撃されるか嫌われるだろうな。戦場で商売はしない方が無難だと思うわよ」
「だよね。今のは無しで……とりあえず、自動販売機は僕達が外出していても物を代わりに売ってくれる機械なんだよ」
「何となく分かったような気もするけど……イメージが……」
「まあ、完成したら分かるよ」
セシリアが居てくれたら自動販売機なんかを作る必要すら無かったのにな……
一応、この世界でも【魔結晶】を使って【魔導人形】を作ったりもしたけど、自我に目覚める事は無かった。
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