第444話 ジュピリアス防衛戦

ドンドン!


「レイ、起きてますか! 敵の気配がします!」


……ん?


「レイ!」


……あれ?


自分は……寝ていたのか?


なんか懐かしいような、哀しい夢をみていたような気がするけど、何かが胸に引っかかるような嫌な夢だった気がする。


「寝てるんですか!! 仕方ないですね、強引に入りますよ!」


あっ……ヤバイ。


「ちょ、ちょっと待ってテレーザ! 起きた! 今起きたから待って!!」


ドゴッ!


自分の必死な叫びは虚しくテレーザのドアを破壊する音により遮られた。


そして、自分に向かってゆっくりと飛んでくる硬くて頑丈な筈のドアがスローに見える。


ヤバイ……!


ちなみにスローに見えているが、走馬灯とかそういうものではなく、防衛本能、超感覚の組み合わせにより思考が超加速し、魔導眼により超加速した思考を認識出来る事で、スローに見えていた。


はっきり言って、この防衛本能、超感覚、魔導眼のセットは戦闘に限定すれば反則級なスキルになるのだが……


「ブヘッ!?」


スローに見えていた超高速で飛んできたドアは、自分の予想通り、自分の顔面にクリーンヒットしてしまう。


普通、飛んでくるものがスローに見えれば簡単に避けられると思われるが、ドアの飛んできたスピードが速すぎて、思考はゆっくりとしているが0.1秒もない短い時間なので、スローに見えても身体がついていかず、全く間に合わない状況なのだ……


「あっ、レイ!? 大丈夫ですか!?」


「だ、大丈夫……」


あ、あれ?


思っていたのより痛いぞ……


しかも、視界が瞬く間に真っ赤だぞ……


「ああっ! 頭から血が!」


「これくらいなら……だい……」


【ダメージが規定値を超えましたので、魔導の福音が発動】


あっ……やば……


聞きたくないアナウンスだ


【魔導の福音によりダメージが全回復、ダメージの10倍の苦痛が発生します】


ぎゃああああ!!!!


自分はあまりの激痛に数秒間意識を失った……。






【クリーン】


そして、数秒後にはさっき流れていた血の量が嘘のように傷痕が全く無くなっていた。


何でこんな事が出来る様になったかと言うと……



名前・レイ(18歳)

 状態・半不死

 属性・深淵

 種族・魔導神族

 パッシブ・素材の極み、鑑定の極み、転職の極み

      職人の極み

      防衛本能、超感覚、魔導の福音

      魔導科学、特殊採取

 アクティブ・超魔導操作、ストレージ

       魔導工房、魔導具作成

       魔導六刀流、魔導神装

 魔導工房内・作業室、金属加工室、合成室

       魔導炉、複製室、調理室

 固有スキル・ジョブホッパー

       魔喰

 深淵魔導術・地獄門

       奈落

       無間地獄【使用不可】

       輪廻転生【使用不可】

 魔眼・鑑定眼、魔導眼、転移眼

 装備・血龍封印具




種族が魔導神族になった事により、魔導の福音というスキルを覚え、状態は半不死になり、普通の物理攻撃や魔法攻撃などの攻撃ならば、今みたいにあっという間に回復してしまう体質になったのだ。


ちなみに完全な不死ではなく、半不死なので欠点がかなりあるのだが、さっきの物理攻撃による致命的なダメージを瞬時に全回復させるには、リスクとして回復させるダメージの10倍の苦痛がともなったり、神属性またはそれに近い属性からの攻撃には回復速度が鈍かったり、即死的なダメージならば半不死でもそのまま死んでしまうらしい。


「さてと……行こうかテレーザ」


「うん、ごめんねレイ」


「はは、この位はいつもの事じゃないか。今日の敵は大した事が無ければ良いな」


「う〜ん。残念だけど多分、そこそこ強いと思うよ」


「そっか……」





自分とテレーザさんがこのジュピリアスに来てから、既に8年が経過していた……そして、自分達は訳あってジュピリアス防衛戦に傭兵という形で参戦していた。

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