第443話 魔導真書による魔導術

自分は何故若返ったのかや強制連続ミッションというものが何なのかは分からないが、何となく自分には拒否権や選択権は無いのだろうなと理解していた。


となれば、この半透明なパネルの指示に従い、魔導真書のレベル3までをマスターするしかないのだろう。


それに元々魔導術を学ぶつもりだったけど、師匠と出会うまで魔導術は諦めてもいたから、自分としても有り難い。


自分はミッション内容を読みながら、そんな事を考えていた。


この半透明なパネルは、どういうシステムなのかは分からないけど、自分が表示されている部分が読み終わりそうになると自動的に次の文章を表示してくれるので、身体が動かなさなくても良いので、魔力過剰症の影響により1年間近く寝たきりだったせいで腕を動かすのもかなり辛く、身体がまだ万全ではない今の自分としては助かるな。



おっ、レベル1の内容か……


☆魔導真書・レベル1

魔導心核を作成せよ。



魔導心核か……昔、師匠に聞いた事がある。


確か、規模の大きな魔導術を使う為には体内に魔導力を一時的に蓄えておく心核が必要になり、魔導術を使えば使う程、魔導心核が鍛えられるんだっけ?


だけど、師匠は魔導心核を作るのは危険で、かなりの年月を使い苦労したとも愚痴っていたな。


しかし、そんな師匠が苦労した魔導心核が魔導真書のレベル1なのか?


しかも、レベル3習得までの期間が1年間しかないのに?


覚醒者のミッションってものがあるのかすら知らないし、難易度の基準は分からないけど、かなり本気でやらないと達成出来ない気がしてきた。


そもそも、まず魔導心核を作るやり方すら知らず、分かるのは万物転流と師匠が使っていた魔導術の効果位だからな……



ピコンッ!


【魔導真書・魔導心核の作り方を伝授します】


えっ、マジで。


魔導真書のやり方を教えてくれるのか?


というか、自分の考えがこの半透明なパネルを表示しているやつにバレてないか?


……思考が読まれるって、なんか急に怖くなってきたぞ。



ピコンッ!


【思考を読む事は出来ません……あと、私の名称はアリサと言います】


いやいや、普通に会話が成立しちゃってるよ!?


完全に思考が読めるでしょ!?


しかも、アリサって人の名前っぽいし……


もしかして、他の覚醒者がテレパシー的なスキルで……


ピコンッ!


【……そんなことはありません】


否定までしてるし。


ピコンッ!


【……魔導心核を作成するには、まず魔導心核を作成する場所を決めましょう】


候補1・脳内……発動速度は最速、容量は最低、危険度は危険、難易度は簡単。


候補2・心臓付近……発動速度は普通、容量は最高、危険度は普通、難易度は普通。


候補3・両手両足……発動速度は最速、容量は最低、危険度は安全、難易度は高い。


特殊候補4・眼球……発動速度は最速、容量は普通、危険度は最高、難易度は高い。



ん?


作成場所を決める?


魔導心核って心臓付近以外にもあるのか。


師匠は胸に魔導心核はあるって言っていたから、てっきり魔導心核は心臓付近にあるものと思っていたけど、違うみたいだな……


ってか、眼球は特殊候補と言いながら完全に罠だよな……他の候補と比べて良い所がほとんど無いじゃないか。


ピコンッ!


【あれ? よく調べたら上級魔導心核の作成に成功しています】


【魔導真書・レベル1を達成しました】




……は?


どういう事だ?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る