第430話 オリジンゲート攻略 ④

【河本貴志 視点】



オリジンゲート8階層……


俺達は8階層ボスである巨大な金色なスケルトンに苦戦していた。


この金色なスケルトンは、弱点がどんどんと変化していく特殊タイプのモンスターみたいで、弱点以外の攻撃はほとんどノーダメージみたいな感じだった。


「くそっ、厄介だな……」


さっきまでは物理攻撃が効いていたのに、今では全く効かない。


そればかりか、間違った攻撃をすると吸収して回復してしまう。


唯一、物理攻撃だけは吸収しないみたいだが、他の属性攻撃をしないとずっと物理攻撃は無効化されるから、いつかはやられてしまうだろう……


しかも、金色なスケルトンは巨大な剣と盾を持つ騎士タイプで、素の攻撃力と防御力もかなり高くて、低ランキングのメンバーは徐々に剣の餌食になっていっている。


今は剣聖のガイアスと炎魔鬼のアスの二人と数名のメンバーで戦っているが、ダメージを与えられていない。


「ぐはっ!」


あっ、あのバカ。


「きゃあ!」


ドゴンッ!!


ガイアスはスケルトンの攻撃により吹き飛ばされ、その先にはコーデリアさんも居て、一緒に壁へ激突していた。


よりにもよってコーデリアさんのいる斜線上に立ちやがって……


壁に激突した事により二人ともすぐには起き上がらない。


ヤバイな……


ガイアスの事なら心配無いだろうが、ちょっと一般人より身体が強化された程度のコーデリアさんがあの衝撃に耐えられているか心配だった。


死にはしなくても意識不明にでもなったら、飲み薬タイプの俺のポーションではどうする事も出来なくなってしまう。


最悪、オリジンゲート攻略は終わりにしなくてはならない。


俺の予想では8階層ボスはもう少し弱いと思っていたんだが……これじゃあ、ボスを倒したときにはどれだけのメンバーが生き残っているか……。


くっ、もう能力を隠している場合じゃないか……。


「エリちゃん! 俺が弱点属性を指示するから、その属性攻撃を頼む!」

「え、分かりました! 任せて下さい!」


エリちゃんは俺の意図を直ぐに理解し、信じてくれた。


流石は親友の妹だな。


さてと……


「我は魔王なり! 我は……」


俺は覚醒の為の呪文を唱える。


【魔王化発動……魔王化が開始されます】


すると俺の身体に変化が起きる。


ぐぐぐっ……


俺の体は一回り大きくなり、頭に角が1本生え、口には牙が生えてくる。


俺だけのオリジナル能力……それが魔王化。


通常の覚醒者はクラスの内容が能力としては影響するが、肉体に影響する事はない。


しかし、俺は中二病ワードを唱える事で魔王化という肉体を一時的にだが飛躍的に強化されたものに作り変える事が出来た。


そして、俺が魔王化した本当の理由は……


【大罪・嫉妬発動】


【弱点看破発動】


俺は魔王化の時にしか使えない特殊能力・大罪を発動する。


大罪には7つの系統があるが、今の俺がまともに使えるのは4つだけ。


その中の弱点看破は高難易度のアビスゲートではかなり役に立つ。


【キングスケルトン・弱点…氷属性】


「エリちゃん! 氷属性で攻撃してくれ!」


俺はすぐさまエリちゃんに弱点の指示を出す。


「分かりました! ……【氷紋の術】!」


エリちゃんは持っている剣に、忍術で氷属性を付与しキングスケルトンに攻撃をする。


ガカカカカッ!


おお、強えな〜。


やっぱり身体能力はエリちゃんが覚醒者の中でもダントツに高いと思う。


今の攻撃でキングスケルトンの盾を持っていた左腕は簡単に吹き飛んだ。


きっと今までは本気で攻撃して、敵を回復させたら良くないと思って手加減していたんだろうな。


ちなみに、この俺が言っている属性というのは、正確にはまだ研究段階で不確実だが、俺の弱点看破では12種類も存在しているのは確認出来ているが、12種類の中にはモンスターからしか見たことの無い属性もあるから、もしかしたらもっとあるかもしれない。


【キングスケルトン・弱点…闇属性】


おっ、今度はキングスケルトンの弱点が俺の得意な闇属性だな!!


【大罪・強欲発動】


【アルカナリス発動】


俺の本気を見せてやるぜ!

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