第420話 サテラ

 自分はテレーザさんとサテラが戦っているのを見守りながら、とあるスキルを発動させる為に【超魔導操作】を使っていた。


 このスキルは元々取得した時から発動させるだけでも難しかったのだが、自分の身体が変わり【魔導操作】が【超魔導操作】に変化してから、更に難しくなっていた。


 このスキルだけはかなり特殊で、スキルを発動させた時点で無限に近いはずの体内の【魔導】が強制的にゼロになり、スキルの発動中は【魔導】はいっさい回復しない。


 そして、このスキルの厄介な問題は……スキルの発動範囲は自分を衷心とすれば範囲指定出来るが、範囲内にいる人には強制的にスキルが発動してしまうのだ。


 大気に存在する【魔素】を【魔導】に変換してから体内に取り込み、自分の【魔導】として体内でスキルを発動させるための操作をする【魔導操作】と違い、【超魔導操作】は体内に【魔導】を入れずに大気中の【魔素】を操作してスキルを発動させる事が出来るし、属性を付与したければ体内からの【魔導】を追加する事も出来るので、発動が非常に速くなる筈なんだけど……


 ヤバいな……


 テレーザさんがサテラに【天翔光】で大ダメージを与えているのに、サテラの驚異度がさっきからどんどん上がっているんだよな。


 しかも、光の速度で撃ち出されている筈の【天翔光】を見切り始めているのか、回避してきている。


「レイくん! そろそろ限界です!」


「あと6秒で発動するから、注意して!」


「了解!」


「さっきから何か複雑な魔術らしいものを発動させる気みたいだが……だが遅かったな。もう木精霊の擬体は完全に馴染んだ……私の身体が馴染む方が早かったみたいだな」


 サテラは自分の攻撃にも警戒し始めたのか、テレーザさんの攻撃を見切りながらもこちらに意識を向けていた。


 サテラの驚異度は21300……


 ユピテルの攻撃を受ける前に比べたら驚異度は多少下がっているけど、普通なら自分たちだけでは勝てないレベルの敵だろう。


 しかし、あと6秒なら自分が何かしようとしているのがバレても問題ない。


 それに自分の攻撃を警戒して身構えてくれた方が、逆に好都合だった。


 よし、スキルを発動させる準備が整った。


「サテラ、僕としてはいろいろ聞きたいことです山ほどあったけど……もう終わりにしよう」


「気にくわないね……私のことは既に倒したつもりにでもなっているのかい? 明らかに私の方が優勢だというのに……」


「いや、残念だけど、もう既に僕の勝ちは確定しているよ」


「何を馬鹿なことを……」


「開け、虚無への扉、虚無の世界に繋がる異界の門!【地獄門】!」


 自分は禁断の固有スキル【地獄門】を発動させる。


 すると、自分の背後に禍々しい巨大な門が出現し、門が開くと同時に指定していた自分から半径30メートル圏の【魔素】が一瞬にして門に吸い込まれ、ゼロになる。


「な、なんだと、ゲフッ……」


 ドサッ……


 自分の予想通り、サテラの木精霊魔術により造られた半身は【地獄門】により強制的に解除され、サテラは半身が無くなった状態かつ、全身の【魔力】がゼロになりスキルなども使えない状態になった為、一瞬にして瀕死の状態になっていた。


 そして、既に気絶しているユピテルの他、テレーザさんも体内の【魔力】が強制的に無くなったので意識がもうろうとしていた。


「これは死神の……そうか、貴様が……私はまた選択を間違えたのか、真っ先に殺すべき奴は貴様だったのだな……」


「僕ひとりでは確実に勝てなかったけど、仲間がいたからサテラに勝てたんだよ。それで最後にひとつ聞きたいんだけど、何でここを襲撃してきたの?」


【鑑定】による情報によればサテラは闘神軍・七獣傑最後の1人って表示されていた。


 七獣傑がどんな立場かは分からないが、闘神軍の中では明らかに偉い立場な筈だ……そんなサテラが単騎で学校を襲撃した目的が気になった。


 もしかしたら自分やテレーザさんがいたから?と考えてしまう。


 もしそうなら、今後の予定に支障は出るけど迷惑がかからないように学校を去ろうかなとも考えていた。


「私が貴様に教えるとでも?」


「まあ、そうだよね……僕やテレーザさんがここにいたことも想定内だったの?」


「はっ……それならば、もっと慎重に……襲撃……していた……」


 そこでサテラは完全に意識を失い、亡くなる……


 とりあえずは自分たちが目的では無いだろうけど、この学校には何があるのか……謎が深まった気がした。




名前・レイ(10歳)

 状態・最適化中

 属性・深淵

 種族・魔導神族?

 パッシブ・素材の極み、鑑定の極み、転職の極み

      防衛本能【最適化中】、超感覚【最適化中】

      建築、土木、料理、鍛冶

      魔導科学、特殊採取

 アクティブ・超魔導操作、ストレージ

       魔導工房、魔導具作成

       二刀流、魔導神装【最適化中】

 魔導工房内・作業室、金属加工室、合成室

       魔導炉、複製室

 固有スキル・ジョブホッパー

       魔喰【封印中】

 深淵魔導術・地獄門

       奈落

       無間地獄【使用不可】

       輪廻転生【使用不可】

 魔眼・鑑定眼、魔導眼【最適化中】

 装備・血龍封印具




「お兄ちゃん! 起きて! もう学校に行く時間だよ!」


「……っ?」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る