第418話 七獣傑 ④
ズガガガガッ!!!
「くっ……」
自分は身動きが出来なくなっていたテレーザさんを抱えて、ギリギリユピテルの【電撃砲】の射程外に退避出来たのだが、それでも【電撃砲】の衝撃がこちらまで届いてきていた。
一撃目の【電撃砲】は離れていたから分からなかったけど、周囲に放電の追撃効果があるのか、身体がビリビリしていた。
「テレーザさん、大丈夫? あと、支援出来なくてごめんね」
「だ、大丈夫です。それにレイくんが襲われるよりは防御力の高い私が狙われたのは結果だけを見たら良かったかもしれませんね」
「スキルが【調整中】の弊害だなあ。それに【オルタナティブアーマー】が使えれば……」
「無いものは仕方ないですよ。それに【調整中】なのは私も一緒ですから、これから一緒に強くなりましょう」
「そうだね」
「お前たちにこれから何て訪れることは無い……私が必ずお前たちを殺す!」
「「えっ!?」」
ユピテルの【電撃砲】が直撃したはずのサテラの声が砂埃の中から聞こえてきた……
「な、何で生きてるんだ? 硬直時間で絶対に回避出来ない筈なのに……」
「何で私の硬直時間を知っているんだ? やっぱりお前たちはテレサの関係者だろ……」
「まだ、そんなことを……っ!? 何だ、あの身体は」
サテラの声がする周辺に舞っていた砂埃が落ち着き、サテラの姿が見えてきたのだが、自分はサテラの姿を見てびっくりした。
サテラの身体の大半が木で被われていた。
いや、木に被われているというよりも身体と木が同化しているのか?
「そんなことは死ぬ貴様等には知らなくて良いことだ……特にヘカトン様の為にもそこの女は確実に殺す……」
自分はすぐにまた【鑑定】をサテラに使い、ステータスの弱点と情報欄を見る。
弱点・雷属性、氷属性、火属性、深淵属性、左足の古傷、しっぽ
情報・闘神軍・七獣傑最後の1人。
相手の認識を狂わせ、相手に本来の力を発揮させない戦いが得意。
左足に古傷がある。
致命傷を一時的に補うため、木精霊魔術により半霊化状態。
総合驚異度【8,600】
サテラは、ユピテルの電撃砲にやられた半身を木精霊魔術で一時的に補っているのか……しかも弱点に火属性が追加されていて、総合驚異度が激しく下がっていた。
まあ、総合驚異度8600がどれくらいの強さか分からないし、今の自分達に対処出来る強さなのだろうか?
ドサッ……
ん?
自分は後ろから何かが倒れる音がしたので振り返るとユピテルが倒れていた。
「あっ、ユピテル!?」
「俺は大丈夫だ……ただ魔力がほとんど空になっちまったから……あとは……」
ユピテルはそのまま意識を失ったのか、反応が無くなった。
「テレーザさん、僕たちだけで何とかしないといけないんだけど……」
自分は小声でテレーザさんにサテラに有効かもしれない手を試すため、試したい作戦に伝える。
「……分かりました。私はまた時間を稼げば良いのですね?」
「うん、さっきよりは弱っているかもしれないけど、大丈夫かな?」
「先ほど、戦っているうちに調整中だったスキルが解放されたので、何とかなるかもしれないです」
なるほど、テレーザさんも自分と同じでタイミングで調整中が解放されていくのかもしれないな。
「了解、じゃあ少しの時間……頼んだよ」
「分かりました。レイくんが準備出来るまでの時間は稼ぎます」
自分はテレーザさんがサテラを抑えている間に新しく解放されたを発動させる為の準備を開始した……
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