第417話 七獣傑 ③

 自分とテレーザさん、ユピテルの3人は突然学校に攻めてきた獣族のサテラという化け物と対峙していた。


「さっきの攻撃をもう一度やる気みたいだね……なら、まずはそっちの雷少年から殺しておこうかな」


 サテラは余裕そうな表情で話し、顔には警戒心を出さないがやっぱりサテラは雷属性のユピテルを警戒しているのだろう。


 予想通り、ユピテルを狙って来るみたいなので、自分とテレーザさんはユピテルの前に立ち、進路を塞ぐ。


「そんなことは僕達がさせないよ」


「はい、全力をユピテルは守ります!」


 自分は2本の【魔力武器】を使ってサテラに斬りかかる。


 しかし、自分の攻撃は軽々と回避され一撃も当たらなかった。


「くっ、速いな……」


 まるでエレナと戦ってるかのように全く攻撃が当たる気がしない。


 サテラを完全鑑定した時に相手の認識を狂わせ、本来の力を発揮させない戦いが得意って情報にあったけど、これは認識を狂わされているのかな?


 それとも単純に自分とサテラの実力差があり過ぎるのか分からない。


 まあ、それでも自分とテレーザさんの目的はサテラの硬直時間までユピテルを守りながら時間を稼ぐだけだ。


「私も手伝います!【天翔斬】!」


 自分がサテラを攻撃している隙にテレーザさんも攻撃に参戦するが全く当たらない……


 ヤバいな……ここまで攻撃が当たらないとなると本当に【無敵時間】の硬直時間しかサテラを倒せる可能性が無いぞ。


 再度、硬直時間までの時間を【鑑定】したら、あと15秒だった。


 もう少しだな。


「ふーん、やっぱりその雷少年が君たちの要なんだな……なら尚更先に殺さないとな……」


「させません!【天翔眼】【天翔斬】!」


 テレーザさんは【天翔眼】により数秒先を読み、【天翔斬】で手による高速斬撃を繰り出す。


 そして、数発に一度位の命中率でテレーザさんの攻撃がサテラに当たるようになっていた。


「……む? 私の動きを読んでいる? しかも私の左足ばかり攻撃してくるとは……」


「当たった!」


「そうか! その眼……その容姿……どこかで見たことがあると思ったら……貴様はテレサの娘だな!」


 今のサテラには【無敵時間】があるため、攻撃は無効化されてしまうがテレーザさんの攻撃が当たり始めることでサテラは何か思い出したかのように苦い表情になる。


 テレサって誰だ?


 もしかしてテレーザさんのお母さんの名前か?


 しかし、別大陸の獣族がテレーザさんのお母さんの名前を知っている事に違和感を感じた。


 どういうことだ?


「私の家族や親族にテレサなどいません! そうやって私を惑わそうとしても無駄ですよ!」


「それだけ似ていて血縁関係がないだと? そんなバカな事があるか! 我々闘神軍がどれだけテレサにやられたか忘れるわけが無いぞ!」


「テレーザさん危ない!」


 ドゴッ


「くっ、【天翔硬】」


 テレーザさんは違うと言っているけど、サテラは怒りが収まらないのかユピテルからテレーザさんに攻撃対象を変更してきた。


 サテラの攻撃は過激で、テレーザさんは【天翔硬】で守りを固めるがサテラの攻撃は明らかにテレーザさんの防御力を凌駕していた。


 魔導壁をサテラとテレーザさんの間に展開したかったがサテラの攻撃速度が速すぎるのと、近接し過ぎているので展開がしにくい……


「やはりテレサと同じではないかっ!? 相変わらず忌々しいスキルだ……ぐっ」


 サテラの動きが急停止した……やっと硬直時間になったのだ。


 テレーザさんはかなりサテラの攻撃を食らってしまい、立っているのがやっとだった。


「ユピテル! 五秒後に【電撃砲】を!」


「分かった!」


 自分はユピテルが【電撃砲】を撃つまでの間に、テレーザさんを安全圏まで移動させるため、走り出していた。






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