第413話 神魔大戦

 自分はザビル先生の歴史の授業を聞いていたのだけど、ほとんどが聞いたこと無い出来事ばかりで、驚いてばかりだった。


「神々との戦いはし烈を極め、人族は1000年近い歳月をかけて世界を守って来たが、人族の生存圏は1000年前に比べると1割も残っていないとされており、我々が生活している【聖都】のある大陸以外には3大陸としか連絡を取れていない状況になっています」


「先生! 何故、神々は直接【聖都】へ攻撃しないで、一番遠い大陸から攻めてきているのですか?」


「確かに神々の目的が【聖都】なら、直接【聖都】へ攻撃できれば大戦も早く終わっていたかもしれません。しかし、【聖都】を中心とした神々を防ぐ結界は数百重にも張られており、結界の元となるものを全て破壊しなくては、いくら神々でも【聖都】には進行できないみたいです」


 なるほど、ゲーム的な展開ではあるけど、だから1000年も人族は攻め滅ぼされていないのか。


「200年前にはマトウ・シンが率いる【魔導機兵】により【闘神】の撃破に成功しました。そして、100年前には【元神】の撃破にも成功しています。それにより神を失った獣族と巨神族は人族の傘下に入り、今では獣人族や巨人族は人族と共に生きる事になっています」


 神を失った種族は本来なら奴隷の様な扱いになるところを主神の意向により、多少の制約のみで許されたらしい。


 それにより獣族は人族とのハーフである獣人族になり、巨神族は巨人族になったらしい。


 でもザビル先生の話では、この大陸の【魔素】も高濃度化してきたので、いつ神々が攻めてくるか分からない状況らしい。


 その為にも、自分達みたいな戦う為の冒険者や騎士などを育成する学校が充実しているみたいだ。


「ですから、午後のスキルを使った授業もかなり実践的になるので注意して下さい。遊び半分でやると大怪我してしまいますからね」


「「はーい!!」」


 大袈裟してしまうような実践的な授業?


 自分はスキルなどの試し打ちなどをして終わりかと思っていたけど、どうやら午後の授業は違ったみたいだった。



 午前中の授業は終わり、楽しみにしていた実践的な授業の時間になり、クラスメイト達は体育館?というか分厚いコンクリートっぽい壁で覆われた無機質な施設みたいな場所に来ていた。


「ここは、学校が保有する街中でのスキル使用が認められている特殊な建物で、何重もの結界と耐衝撃素材で作られたレベル5クラスのスキルにも耐えられるように作られています。あとスキルを試すマトはいくつかありますので、私の許可が無いうちは人に向かってスキルは使わないで下さい」


 マトは地上を動く物から空中を飛ぶタイプ、固定式やダメージ量やスピードを計測出来るものなどいろいろあった。


「あと、武器を使いたい場合はあちらの武器庫にある人にはダメージがあまり入らない特殊な加工をしてある武器がありますから、そちらを好きに使って下さい」


 ザビル先生の話を聞いた後、みんなは武器庫へ向かっていく。


 武器庫内には様々な形状の武器があるなぁと思ったら、全ての武器に刃が付いていなかった。


 自分が疑問に思っているとユピテルが話しかけてきた。


「レイ、どうしたんだ? 何か迷っているみたいだけど」


 そう言うユピテルは既に長めの棒を持っていた。


「いや、ここにある武器って全てに刃が付いてないから、どうするのかなと思ってね」


「ああ、これは【魔力武器】って言って、【魔力】を流すと好きな形状の刃が形成される武器なんだよ。例えば俺の選んだ武器は大槌なんだが、【魔力】を流してなければただの長い棒みたいな感じだな」


「へー、そんな武器があるのか……」


 てっきり木剣みたいな木の武器とかかと思ったら、凄い武器なんだな……


 そう言えば【鑑定眼】で【鑑定】すれば早かったなと思いだし、人に向けてスキルを使うわけでも無いから大丈夫だろうと思って【魔力武器】に【鑑定】を使ってみた。


【魔力武器】 【魔石】を内蔵した【魔導武器】。【魔力操作】次第で強度や切れ味を変えられる。現在は制限がかかっている状態。


 ほう、これは凄そうな感じの武器なんだな……しかも、制限をかけているから安全って事なのかな?


 これは逆に言えば制限が無ければ普通に優秀な武器になりそうだな……制限無しで使ってみたいな。


【魔導眼により魔力武器の制限を解除しました】


 えっ……?


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