第412話 クラスメイト

 自分とテレーザさんが教室に入るとクラスメイト達がざわつき出したのが分かった。


 確かに自分達に興味があるけど、話しかけずらいといった雰囲気だろうか?


 自分としては、話しかけて来てくれた方が嬉しいんだけどな……


 自分が席に座ると、隣の席にいた男子が声をかけてきた。


「おはよう、俺はユピテルって言うんだけど、よろしくな!」


 ユピテルと名乗った男子は金色の髪に青い瞳で、短い髪を逆立てていて、細身だけど鍛えられている感じの腕をしていた。


「おはよう、僕はレイだよ、よろしくねユピテルくん」


「ユピテルで良いぜ、クラス内の男達はほとんど呼び捨てになっているからな」


「そうなんだ? なら、改めてよろしくユピテル」


「おう、よろしくな。それにしてもレイは転入早々に有名人になったな」


「確かに倒れたけど、そこまで有名になることなのかな?」


「ああ、通常の人は【魔導変異薬】を飲んでも倒れないし、【科学魔導研究所】に入院する事も無いからな。誰でもレイやテレーザさんのその後が気になるのは当然じゃないか。 それでどうなった?」


「普通の人の効果がよく分からないけど……たぶん【魔導変異薬】の効果はしっかりと出てると思うよ」


「そうなのか、ならみんなと普通なのか……? 今日の午後の授業から【異能眼】などやスキルを使った授業がスタートするから楽しみだぜ」


「ユピテルはやっぱり身体を鍛えている感じだから、戦闘系の【適性職】や【異能眼】だったの?」


「俺は巨人族だから【朱眼】で、【適性職】はいろいろあったが【雷使い】ってのにしたぜ」


「えっ、ユピテルって巨人族なの? 僕と身長とかほとんど変わらないけど?」


 巨人族って【ハンタースクール】での校長みたいなドワーフ族を超える巨体だと思ったけど、ユピテルも巨人族なのにはびっくりした。


 しかも、【雷使い】かぁ……自分も元々は【雷属性】だったなぁ。


 そう言えば、最近は【属性付与】の練習をしなくなったけど、午後の授業時に一回位試してみようかな?


「巨人族は成人後にデカくなる傾向があるかな、まあ、俺の場合はちょっと違うけどな……」


「ん? 違うってどういう……」


 ガラッ


「おっ、ザビル先生が来たな。話はまた後でな!」



 ザビル先生が教室に入って来たのでユピテルとの会話は終わり、ザビル先生による歴史の授業が始まった。


「今日は神魔大戦の続きをやりますが、レイくんやテレーザくんもいるので簡単にこの前までの復習をしましょう」


 神魔大戦とは、この世界の主神と異界の神々との長い戦いを言うらしくて、神魔大戦が始まってから既に1000年近くの月日が経っているらしい。


 この世界に攻めてきている神々は、【魔神】ゼウスが率いる魔族、【闘神】ヘカトンが率いる獣族、【邪神】サタンが率いる邪神族の3軍勢と【元神】ウラヌスが率いる巨神族の4柱で、主神と自分達である人族を合わせた5柱がこの世界で争っているらしい。


 攻めてきている神々の目的は、【聖都】パディウムにある何かを狙っているのではないかとされているが、目的に関してはよく分かっていないらしい。


 ってか、自分の知らないところで世界をかけた大戦が始まっていた事に授業が始まって数分でびっくりしてしまった。


「世界に【魔素】がこれほどまでに溢れているのは、神々から溢れ出す【魔素】のせいとされています。現に神々からの攻撃が激しい地域では高濃度の【魔素】が溢れていることも分かっています」


 高濃度過ぎる【魔素】による悪影響は、魔獣の凶暴化やダンジョンの暴走、作物や森林が育ちにくかったりするらしい。


【魔素】は全ての生物に力を与えるが、高濃度過ぎる【魔素】は逆に身体に悪くて良くなくて、長期間にわたって高濃度過ぎる【魔素】を浴び続けると死に至るらしい。


 しかし、【科学魔導研究所】の所長であるマトウ・シンの開発した【魔導変異薬】を投与する事により、高濃度過ぎる【魔素】の中にいても影響を受けにくい身体に作り替える事が出来る上に、【異能眼】や【適性職】などの戦う事に必要なスキルも副産物として手に入れる事が出来、マトウ・シンと【科学魔導研究所】は世界的にも必須の存在として不動の地位を獲得しているらしい。


 そういう授業を既に受けているからクラスメイト達や街の人たちは【魔導変異薬】に抵抗がなく受け入れているのか……


 【異能眼】の適性を取得出来る【魔導変異薬】を【イーストエンド地方】に……というか、【魔眼協会】の人たちに投与してあげれたら、【魔眼】による将来的な死という不安から解放させてあげられるのではないだろうかと考えていた。


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