第407話 ジュピリアス冒険者学校 ステータス

ふぅ、身体を軽く動かしたが、多少の違和感があるだけで、不都合なところは無さそうだった。


「身体は大丈夫そうです」


「そう……それでねレイくん、あなたに伝えなくてはいけないことがあるのですが、大丈夫かな?」


 白衣を着た女性は真剣な表情で話しかけてきた。


「え、は、はい、大丈夫ですが……?」


 何だろう?


【ステータス画面】が大幅に変わり、一週間も寝ていた後に真剣な表情で伝えなくてはいけない話って、嫌な予感しかしないんだけど……


「まず、レイくんが寝ている間に申し訳ないけど、身体を検査する過程で【適性職】を見てしまったの。本来なら子供だろうと本人の同意が無くては【適性職】などは調べてはいけない決まりなのに、ごめんなさい」


「ああ、それぐらいなら良いですよ。自分が寝ていた原因を調べてくれていたわけですから、気にしません」


「ありがとうね。それで、レイくんは自分の【適性職】を聞きたいかしら?」


「【適性職】……それは聞かなくても【ステータス画面】を見れば分かるんじゃないですか?」


 いや、そう言えば【職種】の欄が消えていたんだっけ。


 もしかして、【魔導変異薬】を使って【適性職】を調べたら、反動で【職種】が【ステータス画面】にのらなくなるのかな?


 しかし、白衣の女性の反応は自分が想像しているものとは違うものだった……


「【ステータス画面】って何かしら?」


「えっ、頭の……いや、何でもないです。それじゃあ、【適性職】を教えてもらっても良いですか?」


 白衣の女性の反応を見る限り、この大陸では【ステータス画面】を見れるというのは普通の事ではないのだろうなと思い直し、【ステータス画面】についての質問をするのは止めておいた。


 でも、そうなると自分のステータスやスキルはどうやって確認するのだろうか?


「……」


 あれ?


 白衣の女性はいきなり気まずい表情になり、黙りだした。


「えっ、何で急に黙るんですか?」


【適性職】を知りたい?って聞かれたから、教えて欲しいって言ったのに、何で黙っているのだろう?


「ごめんなさいね、いざ、言うとなると気まずいものね……実はレイくんには【適性職】が無かったのよ。【魔導変異薬】を使ったのに【適性職】が無いというパターンは初めてでね、いろいろ検査してみたのだけど、何も分からなかったわ」


「えっ、どういう事ですか?」


「つまりは【適性職】が無いから、戦闘に向いているスキルを取得出来る可能性が極端に減ったって事なのだけど……あっ、でも努力次第ではスキルを取得出来る人も居るから、もし、どうしても冒険者になりたいのなら、学校にいる間にチャレンジするのも有りだと思うわ」


【ステータス画面】を見る限り、確かに【職種】欄は消えているけど、スキルなどは豪華になっているし、【ジョブホッパー】のスキルも健在なんだけどな……


「ちなみに、取得したスキルはどうやって確認するのですか?」


「それは技能測定器を使えば、取得済みのスキルが技能測定器に表示されるわよ」


「技能測定器は何処にあるのですか?」


「科学魔導研究所や職業案内所、学校やトレーニング施設になら大体あるわよ」


 うーん、やっぱり【ステータス画面】って一般的ではないのかな?


「スキルで【鑑定】って聞いたことありますか?」


「【鑑定】? 聞いたこと無いわね……私もスキルには詳しくないからわからないわ」


「そうなんですか。僕もその技能測定器は使えますか?」


「ええ、使えるわよ……でも、レイくんの身体は調べたけど、スキルはレベル1の【魔眼】しかなかったわ」


「えっ、【魔眼】だけ? 他にもスキルがあるんじゃないですか?」


 あんなに沢山のスキルがあるのに、技能測定器で表示されるのは【魔眼】だけって、どういう事だ?


「……レベル1の【魔眼】しかスキルが無いってのにショックを受けるのは分かるけど、【魔眼】は即発動出きるから種類によっては冒険者としては活躍出来るわよ」


 白衣の女性は、何故か自分が魔眼しか無いことにショックを受けていると勘違いしていた……


 ってかレベル1とはなんだろう?

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