第403話 ジュピリアス 超深淵探求
自分とテレーザさんは冒険者育成科の学校へ入学手続きをしてもらう事にしたのだけど、超深淵探求科ってものが気になったので、聞いてみることにした。
「超深淵探求科って何をする学科なんですか?」
「深淵はご存じですか?」
「聞いたことしか無いです」
「私は知りません」
「そうですか、私も簡単な説明しか出来ませんが、魔導王が提唱している邪神族に有効な概念の事で、いくつかのリスクはあるみたいですが深淵を使えるようになれれば邪神族との戦いが有利になるそうです。しかし、深淵の適性者はほとんどいないのが現状ですね……深淵の適性者がもっと居たら邪神族との戦いも有利になるとされています」
「えっと、邪神族ってなんですか?」
「えっ? 邪神族を知りませんか? 別大陸出身でも邪神族は知っていると思ったのですが……」
「僕達の居た大陸では邪神族は居ませんでした」
「邪神族がいない大陸? そんな大陸が……あっ、もしかしたら大陸内に邪神族を入れないだけの強力な武力を持った大陸で、一般人には不要な不安を与えないように秘匿されている可能性もありますね……」
「ああ、なるほどな。それでレイくん達は邪神族と共に別大陸の存在自体も秘匿されて育ったのかもしれないな」
2人の話を聞いて、なるほどなと思ってしまった。
自分達のいた大陸には【魔王】と【聖人】という超強力な武力があり、【魔王】は一般的に国同士の争いには介入しないが、世界の脅威になるようなものに対しては介入すると言われていて、もしかしたら【魔王】は大陸は守る為に邪神族と戦っていたのではないだろうか?
そして、【聖教会】は邪神族の情報などを禁忌として秘匿していると……
「邪神族か……邪神族に対しては深淵以外にも対抗策はあるのですか?」
「魔導武具や神に祝福された武具や魔導機兵みたいな魔導兵器などが有効だが……俺達みたいな冒険者には低級な魔導武器を持っていたら凄いってレベルのものだからな」
「じゃあ、邪神族に襲われたら対抗出来ないんですか?」
「そうなるな。だが、邪神族は個体数が少ないらしくてな、こっちではほとんど邪神族による直接の被害は無いから安心していいぞ。まあ、邪神族に遭遇したら逃げるしかないし、逃げられなければ諦めるしかないな」
「それはヤバそうな敵ですね……」
そこまで邪神族ってのは強いのか……
「あと、邪神族の厄介な問題は、邪神族の襲撃だけではなくて高濃度魔素汚染地域が拡大してしまう事なんだ」
「高濃度魔素汚染地域……って、魔素が濃いのは邪神族のせいなんですか?」
「ああ、邪神族には関しては正しい生態は分からないんだが、邪神族は高濃度魔素集合体ってのがよく言われていてな、邪神族が占拠している場所から離れていてもダンジョンの暴走化や魔獣の凶暴化などの原因にもなっているんだ」
「確かに厄介な存在ですね」
草原に飛ばされた時には高濃度の魔素は地域性のものかと思ったけど、全ては邪神族のせいなのか……
邪神族と遭遇したらどうするかな……?
「まあ、レイくん達にはまだまだ関わりにはならないだろう事だから、気にすることはないさ」
「そうですよ。ジュピリアスに住んでいる限りは邪神族に遭遇する事はまず無いと思いますよ。この辺はまだ邪神族の影響が少ない場所ですからね」
「それなら安心ですね」
【ジュピリアス】から【イーストエンド】への距離がどれくらいなのかは分からないけど、【ジュピリアス】から離れる事を考えたら、邪神族に遭遇してしまった時の対策も考えておかないとダメな気がするなと思った。
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