第397話 ブラットとディアナ ③

【ブラット視点】


 俺はディアナさんからお昼ご飯を奢ってもらうため、一緒に新しくできたパン屋へ来ていたのだが、入口でニナさんと遭遇したら、いろいろ質問される事になってしまった。


「ブラットくん、この女の人は誰なんですか!?」


「それは私も聞きたいな……」


 何で2人は初対面なのにこんなピリピリしているんだ?


「こっちは同級生のディアナさんで、こっちは俺がよく買いに行ってるパン屋の娘だよ」


「同級生……やっぱり同じ学校じゃないハンデが」

「パン屋の娘……それは予想外だな」


『ブラット、そう言えばこの女の子は初めて会ったときにも居なかったか? あのときはすぐかな別れたから気にならなかったが、どんな関係だ?』


『ん? いつもパン屋でサービスしてくれるから、ただ護身用に剣技を教えているだけだよ』


『おい、ブラット……これは聞いていないぞ……他にも女がいるなら言ってくれよ』


『ん? 何のことだ?』


 ベヒーモスはたまによく分からない事をいいだすんだよな……


『こいつ、絶対に気が付いてないだろ……クソっ、今すげえガインを殴りたくなってきたぞ……しかし、この展開はどうすれば良いんだ?』


『どうせだから3人で昼ご飯を食えば良いんじゃないか?』


『まじかよ、こいつ。ブラット……それだけは絶対に言うなよ? 言ったら今後一切協力してやらないからな?』


『あ、ああ、分かったよ』


「ブラットくん、ちょっと彼女と話をする事にしたからお店の中で待っていてくれるかな?」


「すいませんブラットくん。話したい事があるので彼女を借りますね」


「……分かった、中で待ってる」


 ベヒーモスの言うとおり、余計な事は言わない方が正しい気がしたから、俺は素直に店の中に入って行った。



【ディアナ視点】


 私はブラットくんがお店の中に入って行くの見送りながら、溜め息をついてしまう。


 まさかこんな展開になるとはな……


「ディアナさん、せっかくのデートを邪魔したみたいで、すいません。ですがディアナさんとはしっかりと話さなくてはいけない気がしたので……」


 ニナさんはすまなそうに謝ってきたので、悪い子では無いのだろうなと直感的に思うが、諦めたくはないという意思は強く感じる。


 この子は私と同じなんだな……


「いや、私もニナさんみたいな人がいるとは思っていなかったからな……」


 【ハンタースクール】内ではブラットくんを狙っている女の子は聞いたことが無かったというより、ほとんどエレナさんか私達位としか話していないと思っていたから、他のライバルはいないと勝手に決めていたが……アメリアのいう通り、気長に攻めるのは危険かもしれないな……と思いながら、ニナさんにブラットくんとの関係を聞いたり、逆に質問されたりした。


 ニナさんは私とは全くタイプの違う女の子で、可愛らしい感じだなと思ったのだが、そう言えばブラットくんの好きなタイプを聞いたことが無かったなと思い出した。


「大体ニナさんの事は分かったわ。お互い大変かと思うけど……」


「ブラットくんが鈍感なので、ディアナさんとは長いライバルになりそうですね……」


 負ける気は無いけど、ニナさんみたいな女の子なら負けても悔いはないかなと思ってしまった。

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