第395話 ブラットとディアナ
【ブラット視点】
俺とディアナさんは3度目の模擬戦を開始した。
『お前ってまあまあ強かったんだな。このディアナって竜人族も子供にしては強いのに2回も勝つなんてな』
魔剣とハルバートは高速で撃ち合う。
『俺の強さが分かったんならさっさと協力的になれよ』
『まあ、強いって言っても……これならどうだ?』
くっ……!?
ボゴッ!
急に持っていた魔剣から力を吸い取られたみたいな感覚になり、魔剣を振るうスピードが落ちてしまい、ディアナさんの攻撃スピードに対応しきれなくなり、肩にハルバートが思いっきり食い込んでしまう。
「ブ、ブラットくん!? 大丈夫か!?」
「あ、ああ。大丈夫だよ……だけど、今日は保健室に行くよ……」
ちょっと強がってみたが、骨が折れてるかもしれないな……
「な、なら私が連れて行こう。私の肩に掴まるんだ」
「ありがとうな」
俺はディアナさんの肩に掴まりながら修練所を後にして保健室に向かう。
とは言っても保健室は何部屋もある修練所の隣にあるから、俺達が使っていた部屋からは歩いて4分位の距離だから、割と近かったりする。
「き、気にするな……私がやった事だしな、それよりも急に動きが悪くなったが、どうしたのだ?」
「ああ、よく分からないけど急に右手の力が抜けるような感覚になったんだよ」
「そ、そうなのか」
多分、【ベヒーモス】が何かをしたのは分かるが、何をしたのかは分からなかった……
『おい、何をしたんだ……』
『何ってお前が協力しろって言うからほんの少しだけ力を貸してやっただけさ、でもお前には全く使いこなせないみたいだけどな』
『なんだと? 力を貸した?』
『ガインに封印されたとはいえ、オレは十二天の一竜だぜ? オレが封印された魔剣を使いたければ、それ相応の【魔力】とかが吸われるのは当然だろ。まあ、吸われたのは【魔力】だけじゃないけどな』
『くっ、そういう事かよ……』
俺はレイやエレナみたいに高い【魔力】も無いし、【魔力操作】も得意じゃないからな……
「……ブラットくん? 大丈夫か?」
「えっ、ああ、大丈夫だぜ」
「急に黙ってしまうから、不安になってしまうよ」
あいつと話すのに集中すると良くないな……気を付けるか。
それから俺は保健室で【回復魔法】をかけてもらい、怪我はほとんど治ってしまった。
肩の骨が折れたなと思ったけど、ちょっとヒビが入っただけみたいで良かったと思う。
「あの、ブラットくん。今日は申し訳なかったな……せっかくの訓練を台無しにしてしまって。私は魔剣や魔槍とかそう言う武器に憧れていてな、ブラットくんの魔剣を見たら興奮してしまい、すまない」
ディアナさんは念のために、少しベットで休んでいる俺に申し訳無さそうに頭を下げてきた。
「あれは本当に俺のミスだから気にしないでくれ、それにもう治ったからさ」
「いや、あれがその程度の怪我で済んだのはブラットくんの反射神経が良かったからだ……」
うーん、確かにディアナさんのハルバートは俺の脳天直撃コースを回避したから肩に当たったという経緯があるが……レイとの模擬戦ならあれくらいは頻繁にあったから気にならないんだけどな。
『おい、ブラット。このままじゃ埒があかねえから食事を奢ってくれたら許すって言ってみろ、多分問題は解決する』
『あ? 何で食事なんだよ……』
『いいから、そう言えって。悪いようにはならないから』
『分かったよ……』
「あ……ディアナさん。そしたら食事を1回奢ってくれたらチャラってのはどうかな?」
「なっ!?」
たかがアレくらいの怪我で食事を奢るだなんて割に合わない気がするし、やっぱりディアナさんが可哀想だから断ろう。
「や、やっぱり、今のは無しで……」
「いや、是非奢らせてくれ! ブラットくんが良ければ明日なんてどうだ?」
「えっ、ああ、明日でいいよ」
ディアナさんがあまりにも嬉しそうに奢ってくれると言ってくるので、びっくりして頷いてしまったけど、本当にベヒーモスの言うとおりになったな
『本当に解決したな……』
『お前が鈍すぎるってのもあるけどな、まあもっとオレを褒めても良いんだぜ?』
明日はちょうど学校が休みだったので昼ご飯を奢ってくれる事になった。
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