第394話 ブラットへの課題 ③

【ブラット視点】


 俺はオヤジから渡された魔剣【ベヒーモス】を鞘に入れたまま素振りをしていた。


 この魔剣は存在するだけで周囲に絶望的な威圧をまき散らしており、このままでは寮に置いておけないとオヤジに話したら、鞘の封印に追加で封印出来る鎖を渡され、それでやっとちょっとヤバい雰囲気の魔剣になった。


 オヤジの話では魔剣についている宝玉部分に意思があり、そいつを従える事が出来れば周囲に威圧を撒き散らす事も無くなるだろうと言っていた。


 しかし、その宝玉の意思というのが厄介なやつだった……


『いくら訓練してもオレは絶対に力は貸さねえからな? オレはガインのヤロウにこんな球ころに封印されたのもそうだが、長いこと封印されてイライラしてるんだ』


 この【ベヒーモス】はずっとこんな感じで協力はしたくないと言い張っていた。


『うるさいな……諦めて俺に協力しろよ。お前が封印されたのは国を攻める悪さをしたからだろ? それに力を貸さないと強敵との戦いでお前も破壊されるぜ?』


 オヤジから【ベヒーモス】の事は昔に聞いたことがあったが、こいつはとにかく自由になんでも好き勝手に生きており、暇つぶしに【ドワーフ国】を破壊しに行ったところをオヤジに負けて封印されたらしい。


『破壊されたとしてもガインの息子の為になるよりはマシだ!』


 オヤジの作った魔剣は確かに名剣と言われる位凄い剣だけど、それは持ち主の力を剣にも伝えられたらの話で、普通の剣なら出来る武器強化や火属性付与等の武器に【魔力】を流す事が【ベヒーモス】には出来ないでいたのでいた。


 オヤジが俺に魔剣を渡すくらいだから、今後戦わなくてはいけない敵はきっと普通の武器ではすぐに破壊されたりするから、魔剣レベルの武器ではないと対抗できないのだろう。


『俺は目的の為に絶対にお前の力を引き出してやるからな!』


 どうやって引き出すかは全く考えて無いけど、目的の為には魔剣を使いこなせなくては駄目なのだろうなと考えていた。


『ふん、無駄なことを……』


「ブラットくん、今日はいつもと違うものを振っているんだね」


 ディアナさんはいつもの様に俺が修練所で素振りをしていたら話しかけてきた。


「ああ、この魔剣を使いこなせるようになりたくてな、これからはずっと魔剣を使うことにしたんだよ」


「魔剣!? 凄いな……私は魔剣を見るのは初めてだ。どうだろう、魔剣を使って模擬戦をしてみないか? やはり使いこなすには実戦が一番じゃないかな」


『ほう、竜人族とは珍しいな……オレとしたら使われるならお待ちじゃなくて、あの子が良いな』


『お前の持ち主は俺から変わることは無いなら諦めろ』


『ちっ……』


「それもいいかもな……」


 ディアナさんとは実戦っぽい模擬戦という事で、ディアナさんも愛用のハルバートの刃にカバーを付けて出直してきた。


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