第389話 魔狼ダンジョン攻略 ②

 自分とテレーザさんは魔狼ダンジョンボスと思われる超巨大な魔狼と先に戦っていた冒険者達を助ける為に走り出したのだが、【テイム】していた魔狼が先に飛び出していき、ボスに体当たりをする。


 ワフッ!!


 グルァアアア!!


 うわっ、魔狼同士の激しい戦いが始まった……


 こちらの魔狼は現在全長4メートル程でかなり大きいのだが、ボスの方は更に大きくて全長8メートル位はあった。


 ってか何でボスだけあんなに強そうなの?


 9階層までの魔狼はちょっと強くなってはいたけど、【テイム】した魔狼の体当たりで死んでしまう程の本当にちょっと強くなった程度だった。


 ボスは身体の大きさだけでなく、身体は赤い炎をうっすらと纏っており、これが魔狼とは思えないレベルだ。


 しかし、こちらの魔狼がボスを押さえ込んでくれているのは非常に助かる。


「そのまま少しの時間で良いから耐えて!!」


 ワフッ!


 任せろと言わんばかりの鳴き声で魔狼は頷いた。


「テレーザさんは倒れている冒険者達にポーションを使って! まだ在庫はあるから出し惜しみは無しで!」


 先ほどまで戦っていた冒険者達のリーダーも既に満身創痍だったみたいで、魔狼の体当たりを見た辺りで倒れてしまっていた。


「分かりました!」


 自分は【ストレージ】から各種ポーションを大量に出してテレーザさんに渡し、ボスの方へ向かう。


 多分、このままでは【テイム】した魔狼だけではボスの相手をするには荷が重い気がするので、早急に参戦する事にした。


 自分はボスの周囲へ、【魔導球】に多数の【魔導剣】をくっつけて高速回転させ、チェンソーのようにしたものを多数配置する。


 そしてボスを向かって一斉に範囲を狭めて切り刻んでいく。


 ジュババババッ!!


 グルァアアア!!


 ボスの身体は無数の【魔導剣】により切り刻まれていくのだが……


「はっ?」


 ボスの身体は【魔導剣】によって大量の切り傷があったのだけど、しばらくしたら回復しているのか、どんどん傷が塞がっていった……


「あの回復速度は反則だろ……」


 超巨大な狼で速くて強くて回復するって……こんなボスは有りなのか?


「レイくん! 魔狼ボスは【超回復】があるが回復出来る量には限度があるんだっ! そのまま攻撃を続ければいずれ【超回復】しなくなる!」


 ボスのあまりの回復速度にどうしたら良いか戸惑っていたら、後ろから冒険者のリーダーから声がかかった。


 なるほど……


「ありがとうございます!」


 あの回復速度を見てしまうと、どう攻略すれば良いのかと戸惑ってしまうが、あの回復にも限度があると分かれば話が変わってくる。


 自分は出し惜しみなく【魔導球】を出し、全てに【魔導剣】を生やして高速回転させてボスにぶつけていく。


 グルァアアア!!


 次第にボスは怪我をするのを嫌がり徐々にだけど、後退していた。


 しかし、ボスも無抵抗で切り刻まれていく事はなく、【魔導球】をどんどん破壊されていってしまう。


 このままだとボスを倒しきる前に【魔導球】を全て破壊されていってしまうかもしれないな……


「本当は冒険者達の前では使いたくなかったけど……」


 全ての【魔導球】を破壊されてしまう前に【オルタナティブアーマー】を着て一気にかたをつけようと思った。


 本当は冒険者達の前では使いたくは無かったけど、そんな事も言っていられない強さなのは、自分よりも格上であろう冒険者達がほとんどやられているのだ、出し惜しみをしていたら自分だけでなくテレーザさんも危険に晒してしまう。


 自分は【オルタナティブアーマー】を装着してから、両手に【魔導剣】を装備し、ボスへ斬りかかる。


【白銀二刀流・三之型・超速六連】


 ボスに超高速の六連撃を繰り出し、六連を1カ所に集中して同時に斬り付けたような剣戟を繰り出す技であるが、自分はまだ【魔装】が不完全な為に完全な白銀二刀流は使えないので、ペンザエモンほどの威力が出せないでいたのだが、【魔素】の濃度が高いためかペンザエモンさんの【超速六連】に近いレベルの威力が出せていた。


「これなら、いける!」


 自分は更に連続して、先ほど首元に斬りつけた傷口が回復する前に、重ねて超速六連を繰り出していく。


 ミシ、ミシ……


 ん……? なんの音だ?


 クワオァン!


「おっと!?」


 首元から大量の血が吹き出しているボスだが、傷を付けられた為なのか怒り狂ったかの様に襲いかかってきた。


 ワフッ!


【テイム】した魔狼は自分が回避に専念しなくてはいけないと判断すると、ボスの首元にかぶりついた。そのまま四本の脚を使い、上手い具合にボスの首元に張り付きながら何度噛みついて傷口を広げていく。


 あいつは何気に賢いな。


 自分も隙があれば超速六連を繰り返していった。


 ミシ、ミシ……

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