第383話 ジュラムス 上位魔狼 ②

 自分とテレーザさんで【ジュラムス】内を見て回ったいた。


「冒険者たちはどこに行ったのかな?」


 【魔導球】を広範囲に飛ばして探索したかったけど、どこから魔狼が襲ってくるか分からない状況では、広範囲より範囲を狭めて、いつでも反撃が出来るようにして進んでいきたいので、冒険者たちの発見が未だに出来ていなかった。


「やっぱり街の中心部にあるって言っていた魔狼のダンジョンでしょうか?」


「そうだよね……いけるところまでダンジョン攻略する?」


「私達でどこまで攻略出来るかは分かりませんし、【認証の指輪】が正しく機能しているか分からないレイくんがダンジョン内で死んだ場合、復帰が出来るかはっきりしない現状では迷いますね」


「そうだよねって魔狼がまだ残ってるな……」


 自分達はとりあえず街の中心部を目指しながら残っている魔狼を倒していったら、魔狼のダンジョンの入口を発見した。


 ダンジョンの入口は、冒険者に仕事の斡旋をする職業案内所と思われる破壊された建物の中にあり、多分、暴走状態になる前までは冒険者たちが日常的にダンジョン攻略をして、持ち帰ったものが大事な収入源になっていたと考えられたが、こうなっては街の復興なんてできるのかな?


「ここまで来たら僕達もダンジョン攻略をして冒険者たちの手伝いをしようと思うけど、どうかな?」


「それは大丈夫ですが、レイくんは絶対に無理はしないで下さいね!」


「それは分かっているよ、あとテレーザさんも無理はしないでね。暴走状態のダンジョンがどんなものか分からないし……というか暴走状態のダンジョンって【認証の指輪】に到達階層が記録されるのかな?」


「そう言えばそうでしたね……冒険者達が最下層まで到達した事があれば、もしかしたらダンジョンボスと既に戦っているかもしれませんが、突入してみないと分かりませんね」


 自分達は魔狼のダンジョンへ入る事にして、実力不足だったり【認証の指輪】が記録されない場合はダンジョンから撤退する約束をして、下に続く階段を降りていくと、第1階層は地上とほとんど変わらない雰囲気の草原が広がっていた。


「ああ、このパターンのダンジョンなんだね……」


 ダンジョンにもいろいろなタイプがあるみたいだが、【スカウトフォート】の学生用ダンジョンみたいに、ザ・洞窟みたいな一本道パターンやここみたいにいきなり超広大な草原や森からスタートして次の階層への入口を探さないといけないパターンのダンジョンだ。


 カーラ先生の授業では、ここみたいなタイプは素材狩りをメインにしている初心者にお薦めで、ワザワザ2階層への入口を発見しなくてもある程度の利益は出ると言っていたな。


「僕は広範囲の探索に集中するから、テレーザさんは目視出来る範囲の警戒をよろしくね」


「分かりました、でもここまで広大な草原だと冒険者たちを追い抜いてしまう可能性もありますね……」


「それはあるかもしれないけど、あの人達はこのダンジョンを初見じゃないだろうから、僕みたいな広範囲の探索が出来るタイプの【職種】を連れてきているんじゃないかな?」


「それもそうですね」


「あと、モンスターと戦闘になったら余裕そうなら倒さないで拘束したいんだけど、良いかな?」


「モンスターを拘束するんですか? モンスターは素材にしたりは出来ませんよ?」


「うん、実はダンジョン内のモンスターに【テイム】スキルが有効かを試してみたいんだよ。さっきはそんな余裕は無かったけど、もし魔狼を【テイム】出来たらいろいろと役に立ちそうだからね」


 ダンジョン内のモンスターを倒すと、ゲームみたいにドロップアイテムとして素材や【魔石】を落とすので基本的には倒さないと意味は無いのだけど、もし【テイム】が出来たらダンジョン攻略の安全性が上がるかなと思っていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る