第379話 ジュラムス ④
自分達が街から少し離れた場所で朝を迎えると、外からいくつかの物音が聞こえてきた。
自分は【魔導】のおかげ?なのかほとんど眠らないので、何かあればいつでも魔獣の対処でも出来るようにしているが、その点ではテレーザさんは普通の女の子なので、まだぐっすりと寝ていた。
基本的には自然に起きるのを待っているのだけど、何かあってからでは危ないのでテレーザさんを起こすしかないか……
「テレーザさん、外から魔獣っぽい鳴き声が聞こえてきたから、起きて!」
「う……ん、はっ!? おはようございます、レイくん!」
さっきまで熟睡していたとは思えないレベルで、即座に自分の声に反応して飛び起きる。
凄い反応速度だな……
「う、うん。おはよう、外で物音がしているから僕は先に見てくるけど、テレーザさんは準備だけしておいてもらえるかな?」
「はい!」
自分はログハウスから外に出て、物音のする方を見ると遠くの方から馬車が何台か街の方へ向かっているのが見えた。
それにしても……馬車にしてはかなり大きいな……
荷台も豪華ではないけど、しっかりとした作りな上に大きく、それを引いている馬?も凄くデカかった。
やっぱり【ウエストエンド】は【イーストエンド】とは何もかもが違っているのか?
そして、やっぱり夕方だったから街の門を閉めていたのかな?
【スカウトフォート】は冒険者の街だったから常に出入りは出来たみたいだし、【チェスガン】も夜になるまでは出入り出来たけど、場所によって街を閉める時間はバラバラなのかもしれないなと思った。
「お待たせしましたレイくん!」
「もう準備は良いの?」
まだ3分位しか経っていないが、テレーザさんは普段の服装に着替え終わっていた。
「はい、大丈夫です! それよりも馬車が来ているんですね……ってデカいですね!?」
「うん、しかもかなりの台数なんだよね」
見た感じでバラバラは20台近くいて、護衛だろう武装した人達もちらほら見えた。
そして、馬に乗っていたひとりがこちらに向かってきた。
「おい、君たち子供が何故こんなところにいるんだ?」
話しかけてきた人は若い青年という感じではあるが装備品はしっかりしていて、冒険者っぽい印象を受けた。
多分、街の外についてあやしい2人組がいたから確認に来たのだろう。
「街に入りたいと思ったんですが、門が閉まっているので……」
「君たち子供が【ジュラムス】に? この街は子供が来るような場所じゃないぞ……そもそもどうやってここまで来たんだ? 一番近い街でも馬車で5日はかかるぞ……」
この街はジュラムスっていうのかな?
というか、やっぱり子供の2人組がこんな場所にいたら怪しいか……なんて答えれば良いのかな。
「えっと、信じてはもらえないかもしれないんですけど、自分達が住んでいた街の近くの森から草原に飛ばされて彷徨っているところで、ここの街を発見したんですが門が閉まっていて困っていたんです」
適当な理由を作って話す事も出来たが、この青年は悪い人には見えなかったので、信じてはもらえないかもしれないが本当の事を言おうと思った。
「は? 森だと? 本当に森のある国から来たのか?」
「え、はい、そうですが……」
「嘘をついている様には見えないが……ちょっと待っていてくれないか?」
ん?
「はい、大丈夫です」
てっきり森から草原に飛ばされたという有り得ない現象に驚くのかと思ったら、森ってところに関心が向いていた……もしかして、こっちの方は森が珍しいのかな?
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