第375話 セシリアの奮闘 ③

【セシリア視点】


 私はマスターの行方不明になった報告を両親にするため、【チェスガン】にある自宅で両親からいろいろ質問されていた。


「レイが無事だというのは分かったが、とある組織ってのはどこなんだ? 俺もソフィアも迷惑をかける組織なら許さないぞ」


「組織名は言えませんが、マスターと同じ様なスキルを所持した人達が所属する組織です」


「なるほどな……それだけで大体分かったよ……」


 マスターから組織名は他の人に伝えてはいけないと言われていたので、話せなかったが両親には正直に話しておいた方がマスターのためになると判断して、分かりやすく伝えることにした。


「それでスキルが暴走直前だった少女を助ける為に実験をしたのね?」


「はい、その通りです」


「なら仕方ないのかしらね……」


「それは仕方ないとして、実験が失敗して遠くの土地へ飛ばされた理由は何だ? その飛ばされる原因になった可能性がある【魔法具】をレイが作ったのか?」


「いえ、少女の力が抑えきれなくなり、暴走した結果と聞いています」


「そうか……それで俺達がレイの為にして欲しい事はありそうか?」


 マスターの両親はある程度は納得したみたいで、今後、マスターの為に何をしたら良いのかを話し合うことになった。


 両親としてはマスターが無事なので、誰かに危害を加えたり、加えられたりしない限りは誰かを攻めたりするつもりはないらしい。


 まあ、帰ってきたら説教するとは言っていたけど、それは私にもどうする事は出来ない気がした。


「それよりも私達のテレーザちゃんの両親に謝りと事情説明に行かないと大変な事になるわよ」


「ああ、確かにそうだな……」


「私も事情説明に行きましょうか?」


「私達だけで大丈夫よ、多分あの人なら娘が武者修行に数年行ったと言って許してくれるわ」


「そうなのですか……?」


 テレーザさんは貴族の娘ですから、数年行方不明になったら大事件に様な気がするのですが……本当に誰かなのでしょうか?


「ああ、昔なら騒いでいたかもしれないが、娘が修行の為に実家から出て行った事である程度の問題は慣れているはずだ」


「それにレイとテレーザちゃんが一緒なのは不幸中の幸いよね、レイ1人だとちょっと心配だけど、テレーザちゃんが一緒ならレイをムチャな事はしないはずだしね」


「それはあるかもしれませんね」


 ソフィア様の言うとおりで、マスターは他人がいれば気を使って無難な行動をするときが多いですが、1人の時は自由に行動してしまう傾向があるのは間違いではないですね。


「とりあえず、セシリアさんはレイから連絡があったらすぐ私たちに知らせて頂戴。それ以外は基本的には任せるけど、出来れば入れ違いにならない為にも【スカウトフォート】に残って欲しいわね」


「分かりました。私もマスターの戻りを【スカウトフォート】で待っていようと考えいました」


「それは良かったわ、それじゃあ私達は王都へ向かうけど後はよろしくね」


 こうしてマスターの両親のテレーザさんの両親に事情説明をするために王都へ向かっていった。

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