第373話 セシリアの奮闘

【セシリア視点】


 深夜の屋敷内。


 マスターがいなくなって2日が経過して、私は重要な選択を迫られ迷っていた……


「マスターの両親に何と言えば良いのでしょう……」


 私の直感で、マスターの両親への報告の仕方を間違えると危険だと警鐘をならしていました。


 私はどうなろうと構わないのですが、マスターへの被害だけでなく最悪の場合、【スカウトフォート】と関係者である【魔眼協会】の壊滅に繋がるのではないかと考えています。


 特にマスターの母親であるソフィア様は危険だと思っている。マスターが怪我を負わされたのを知った時のソフィア様が纏う【魔力】は身体が硬直してしまい、死を連想してしまう程でした。


 それが無事とは言え行方不明となれば……


「セシリア、レイを見かけないのだけど、どうしたのかしら?」


「っ!?」


 マスターの部屋には私以外いない筈なのに、女性の声が突然したので振り返るとエレナさんが椅子にすわっいた……


 エレナさんはどうやって部屋に入ったのでしょうか?


 窓も入口のドアも閉まっているのも確認する……


「そう警戒しなくても良いわよ。私はレイやセシリアに危害を加えることは無いわ」


「エレナさん……本人ですか? 口調がいつもと全く違います」


 見た目や声などはエレナさんなのに口調や雰囲気が全く違い、まるで大人の女性みたいな雰囲気がします。


 もしかして、エレナさんに変装した誰かでしょうか?


「セシリアには話していなかったわね……あなたに理由を話したいところだけど、あなたに話すとレイに筒抜けになっちゃうのよね……」


「そうですね。私はマスターに嘘をつくことはありません」


「わかっているわ、私はあなたのレイに対する忠誠心は信頼しているわ。まあ、今は私が本物って信じなくても良いわ」


 私の直感は目の前にいるエレナさんが本物だと言っているが、完全に信用出来ないでいた。


「それで私に会いに来た理由はマスターの所在ですか?」


「ええ、2日前からレイが【スカウトフォート】から消えているのは分かっているのだけど、どこへ行ったか教えてくれないかしら? もしかしてあなたもレイの所在を把握していないなんてないわよね」


「私はまだ信用出来ていませんので教えられません」


「そう、本当にレイの所在が分からないのね……」


「っ!?」


 私は質問に答えていないのに……


「レイがいないからあなたは両親になんて報告すれば良いのか悩んでいたのね……」


「な、何で……」


 さっきから私は質問に一切答えていないのに、的確に私が悩んでいる事などを当てていくエレナさんと思われる少女に恐怖を感じてしまいました。


「ふふ、それくらいちょっと考えれば分かるわよ。そうね……レイの両親に報告するのなら早い方が良いわよ? あと決して嘘の報告をしてはダメよ、ある程度の秘密は仕方ないけど正直にレイが何をして行方不明になったのか話す事ね。あの両親なら非人道的な事をしていない限りは理解してくれるはずよ」


「……確かにその行動が一番良い気がしますね」


 目の前の少女を信用して良いかは判断がつかないけれど、マスターの両親への対応は合っている気がしました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る