第370話 血龍印 ③
自分が魔熊を倒して、魔熊を血龍印に取り込んだ瞬間、脳内アナウンスはなかったが対価として封印する事が出来るものが分かる様になった。
防衛本能、建築、土木、料理、鍛冶、共感覚
特殊採取、鑑定、魔喰
そして、脳内に封印する事が出来ると分かったのは、この9つのスキルだった。
封印が出来るスキルの基準はよく分からないが、アクティブスキルは封印出来なかったりするのも多少は関係あるのかな?と思った。
ってか……【魔喰】の封印が出来るじゃん!?
封印してもまた魔獣を狩れば解除は可能っぽいので、早速【魔喰】を封印指定する。
すると、血龍印の瞳部分から赤黒い湿った紙っぽい帯が飛び出し、左腕にグルグルと巻き付いた……
う、これは恥ずかしいぞ……
前世ならかっこいいと思ったかもしれないが、実際に封印の包帯みたいなものを左腕に巻き付けていたら、かなり痛い人みたいな気がする。
「レイくん! その赤い包帯はかっこいいですね!」
「えっ? かっこいい?」
「はい! 私も同じ包帯を巻きたいです!」
「ええっ……」
まさか、テレーザさんが厨二っぽい赤黒い包帯をあれほど気に入るとは……
そして、血龍印に封印された【魔喰】はステータス欄から封印指定と表記されていた。
これは本当に【認証の指輪】を付けても大丈夫なんじゃないかな?
ひとつ心配事があるとしたら【魔喰】の封印を解除したら【認証の指輪】がまた無効化されそうだから、【スカウトフォート】のフレイザードさんに会うまでは封印を解除する事が出来ない事かな……
まあ、【魔喰】を使いこなせていないから、使えなくても良いか……
自分は意を決して左手の人差し指に【認証の指輪】をはめてみる。
あれ?
本来なら【認証の指輪】は指のサイズに縮んで、指輪が外せなくなるはずなんだけど……簡単に普通の指輪みたいに外せるな。
一応、少しは指輪が縮んだみたいだからブカブカという事は無いけど、外そうと思えば外れるレベルなので、ちょうど良いと言えばちょうど良いんだけど、ちゃんと機能しているかが不安になってくるな……
「レイくん、ダメそうですか?」
テレーザさんが心配そうに訪ねてくる。
「いや、まだ分からないかな。多少のサイズ調整はされたから機能しているかもしれないけど、確認のしようがないんだよね」
「ステータスの職種欄にも変化は無いですか?」
「うん、変化は無いね……」
「それでしたら、街の入口で試してみないですか?」
「えっ……それは危険じゃない?」
もし【認証の指輪】が機能していなかったらどうするつもりなのだろう?
「指輪自体は本物なら、なんとかなりますよ。実はほとんど知られてはいないというか秘密なんですけど、生死の境をさ迷った人はごく稀に職種や髪色が変化する事があるのですけど、それよりも稀にですが【認証の指輪】が機能しなくなる場合があるみたいなんですよ。だから、大怪我した変装をすればいい訳にはなります」
「そんな裏技があったんだ? それなら【認証の指輪】の対処をしなくても良かったって事?」
「いえ、レイくんの話を聞く限り、原因のスキルは【認証の指輪】を壊してしまうんですよね?」
「うん、無効化してしまう感じかな」
「私の言っているやり方は装着者の情報が正しく【認証の指輪】に伝わらない場合のみに通用する言い訳なので、【認証の指輪】自体が使えなくなっていると、言い訳が通用しなくなる気がします」
「なるほど……なら結果的に良かったんだね」
結局は新しい街を見つけたら、無事に通過出来るかチャレンジする事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます