第369話 血龍印 ②
自分は血龍印を試すために、倒した魔兎に近寄って行き、倒した魔兎に左腕をかざすと、赤黒い龍の刺青がピリピリしたと思ったら、魔兎から【魔力】とは違う何かが左腕に入ってくる感じがした……これが生命を奪うという事なのだろうか?
これならば自分で倒さなくても死体に左腕をかざせば良いのではないだろうか?
「レイくん、成功しましたか?」
「うん、一応は成功したのかな? ……でも生命を奪うのは1回で良いのかと思っていたけど、強さか大きさに関係あるのかは分からないけど、感覚的に奪い足りないって感じみたいだから、あと何回かは試してみたいんだけど、良いかな?」
もしかしたら【魔石】の大きさや体の大きさに影響しているのかなと思ったので、念のために大きさ、倒した回数とかは覚えておこうかなと思った。
「はい、大丈夫ですよ。私とレイくんしかいないのですから、レイくんの好きなようにして良いですよ」
テレーザさんは天使のような完璧な微笑みを向けてきた……
「ありがとう、じゃあ今度は見かけ次第どんどん倒していく事にするよ」
それから自分は魔獣を発見したら【魔導剣】で串刺しにして、血龍印に何かを吸わせるという単純作業を3時間ほどこなしていた。
3時間で倒した魔獣は魔兎が12匹、魔犬が4匹だった。
結構倒したと思ったんだけどな……まだ数が足りないのかな?
それとも魔犬以上の大物を狩らないとダメなのかな?
そんな事を考えていたら、魔熊が近寄ってくるのが分かった。
まだ向こうが気がついていないので逃げる事も出来るけど、ここは是非とも倒しておきたいな。
「ちょうど良いかも……」
「どうしたのですか?」
「向こうの方から魔熊が近寄って来ているから倒そうかなと思っているんだよ」
「魔熊ですか……ひとりで大丈夫ですか?」
「戦った事はないけど、攻撃さえ通れば大丈夫かな。テレーザさんは倒したことある?」
「はい。1匹だけ倒したことがあります、けど皮膚が硬かったりするので素手で戦うのはかなり苦戦しました」
「確かに皮膚が硬いとテレーザさんみたいな素手で戦うスタイルには厳しいのか……それでも素手で魔熊に勝てちゃうテレーザさんも凄いけどね」
テレーザさんに籠手みたいな拳をガードするような装備を用意して上げるのも良いかもしれないな。
「とりあえずは魔熊を1人で倒してみるよ。ひとりでは厳しそうなら逃げるかな……」
「レイくん、頑張って下さい!」
「ありがとう」
自分は魔熊の周辺に【魔導球】に【魔導剣】を何本も生やしたものを大量に配置しておく。
魔熊は四足歩行しており、まだこちらに気がついてはいないので警戒心も低い感じで近づいて来たところを、一斉に魔熊の首めがけて高速回転させた【魔導球】が斬りかかるのだが……
あっ……
「レイくん、私からはまだはっきりとは見えないのですが……魔熊の動きが止まりました?」
「うん……思ったよりあっさりと魔熊の首を斬り落とせて……倒せちゃった」
警戒していないゆっくりと歩く魔熊だったから、正確に複数から同時に斬りつける事が出来たからあっさり倒せたのもあるかもしれない。
「えっ? もう倒したのですか? しかもこんなに離れた距離から……?」
「あれくらいが僕のギリギリ射程範囲内なんだよね」
「レイくんに遠距離不意打ちをされて、生き残れる人は少なそうですね……レイくんのスキルは暗殺向きなんですかね?」
「暗殺って……」
「【認証の指輪】が機能していない今のレイくんなら、気配察知に疎い人からしたらかなりの驚異だと思いますよ」
確かにテレーザさんの言うとおり、自分が暗殺者になったら凄いのかな?
まあ、やらないけど……
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