第368話 血龍印
自分は新たに手に入れた力?の血龍印を試すため、魔獣が出てきたらひとりで撃破してみることにした。
この【血塗られし生命の嘆きの龍】や血龍印は【魔導具】でもスキルでも無いらしくて、スキル欄には一切載っていないのだけど、【鑑定】をすると血龍印と表示される不思議な能力だった。
あと、【血塗られし生命の嘆きの龍】は自分の左腕に入ってからは、【同化】してしまったからか【鑑定】も出来なくなっていた……
自分の【ジョブホッパー】が進化して、髪や瞳が黒くなったり属性が深淵になってから、こんなおかしな事ばかり起きている気がするな。
属性の深淵は未だにどんな属性かが分からないでいるし、元々は【属性付与】が苦手だったけど、深淵になってからは更に酷くなり、全く制御出来ないでいたので、むしろレベルダウンしているのではないかとさえ思えてしまう感じだった。
「普通に魔獣を倒すだけで良いんですか?」
「うーん、その辺は曖昧なんだけど、トドメだけをさせば良いのか全部ひとりで戦わないといけないのか分からないんだよね」
「それが新しい能力の発動条件なんですか? そんな発動条件もあるんですね」
「実際は違うかもしれないけど、検証してみたいなと思ってね」
まあ、敵をひとりで倒そうがふたりで倒そうが結果は変わらない気がするから、もしかしたら勘違いかもしれないけどね……
「この辺の魔獣は弱いんでちょうど良いかもしれないですね」
「うん、あっ、ちょうど良い魔兎がいるな……」
この辺の草原には魔犬や魔兎、あとは草食動物しかいなかったので、集団で襲って来ない限りは、比較的安全に狩りが出来ていた。
ちなみに魔兎は魔犬より弱くて、少し体格の良い草食動物よりも弱かったりするので、ひとりで血龍印を試すにはちょうど良い獲物だった。
「レイくんはよく魔兎を見つけられますね……普通は勝てない敵には直ぐに逃げたり隠れるので発見しづらいって理由でほとんど遭遇すらしないって聞いたことがあります」
「ああ、それ以外に発見されない理由として、体が小さくてクズ【魔石】しか出ないし、肉も臭みが強すぎて使い物にならないから、探しすらしてないかららしいよ」
狩るだけ武器が痛むし、時間の無駄という魔獣なのでわざわざ狩ろうとする人は少ないらしい。
でも、たまに魔兎が増えすぎた時は薬草や貴重な草などを食い尽くしたりするので、定期的に冒険者に依頼が来るらしいが、みんな嫌がるとカーラ先生が授業で言っていた。
しかし、自分の場合は魔兎に気が付かれない位の遠距離から【魔導剣】などでサクッと倒せるので言うほど大変ではなかったりする。
ザクザク!
【魔導剣】を魔兎の上から急所に向かって3本突き刺すと、魔兎はあっさりと絶命した。
「確かにレイくんがあっさりと遠距離攻撃で敵を倒せちゃうと、同じ後衛職のコーデリアさんとシンシアさんが活躍するのは大変かもしれないですね……」
「まあ、僕の汎用性が高いスキルとかは自覚しているけど、ふたりには今後の成長に期待していたんだけど……今すぐに強くなりたかったから仕方ないかな……」
多分、2人の事だから数年後には凄く成長しているんだろうなと思っていた。
「……ちょっと焦る気持ちで修行するのは、今後の事を考えると心配ですけど、ふたりは大丈夫ですかね?」
「2人の才能を伸ばしてくれる人が【レイクハート】に居るらしいから、【スカウトフォート】で鍛えるよりは良いかもね」
本当は【スカウトフォート】で一緒に強くなれたら良かったけど、将来のために今頑張ると言われたら応援したいと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます