第367話 血塗られし生命の嘆きの龍 ②

 自分は【血塗られし生命の嘆きの龍】という怪しげものをどうしようか迷っていた……


 名前からして呪い関係の道具な気がするんだけど、血の中を蛇の様にふよふよと泳いでいるんだよな、これは道具なのか生き物なのか……


 【鑑定】をした内容が、生命を奪う対価に指定の生命を封印する血龍紙だったけど、生命を奪うって誰の生命を奪うのだろうか?


 それに指定の生命を封印するとどうなるのか?


 【血塗られし生命の嘆きの龍】に関しては【鑑定】しても、分からない事だらけで、使う気にはなれない内容なんだけど、自分が偶然作ってしまうものは、自分にとって大抵そんなに悪い内容ではなかったりするんだよな。


 だから使い方によっては凄い便利なものかもしれないから簡単には捨てられなかったりもするのだ。


「とりあえずは【ストレージ】にしまっておけば良いかな。【スカウトフォート】へ戻れたらフレイザードさんに見せれば良いしな……」


 自分が【ストレージ】に入れようと思って、【血液濃縮循環機】に手を入れたら……


 ズボッ!


「いだっ!?」


【外部からの浸食を受けています】

【浸食を拒む場合は5秒以内に対処をしてください】


 えっ、なになに!?


【血塗られし生命の嘆き】は自分が【血液濃縮循環機】に手を入れた瞬間に噛みつくではなく突き刺さって来たのだ……


 自分は激痛の為に正常の思考が出来ないでいたけれど、これは何とかしないといけないのではとだけは思ったのだが……ってか5秒以内は短すぎないか?


【対処がされなかったので同意とみなし、同化を開始します……】


「くっ……同意なんてしてないぞ……ってかなに? この理不尽なアナウンスは……」


【同化が完了しました……血龍印は正常に作動したのを確認しました……】


 完了のアナウンスと共に自分の左腕には赤黒い龍の刺青みたいなのが浮かび上がってきた……


 えっ……?


 前世で格好いいなと思っていた黒龍みたいな刺青が左腕にグルグルと絡みつくようになっており、個人的には嫌いではない感じだったけど……これは人に見られたら超恥ずかしいんじゃないのか?


 そして、この【血龍印】の使い方は同化した事により、何となくだけど分かってきた。


 この【血龍印】の使い方は、まず自分で殺した生き物の血を左手で触ると血を吸収し、代わりに指定した自分のスキルを左腕の血龍に封印する事が出来るというものだった……


 誰だよ、こんな厨二臭い封印方法を考えたやつは……決して自分の願望が暴走した結果とは思いたくない。


 ってかスキルなんて封印してどうするんだ……もしかして血龍に封印したら強くなるとかあるのかな?


 まあ、でもステータスの状態を見ても呪いなどにはなっていないから大丈夫かな。


 予想外の出来事が発生したので、今日は考えるのを止めようと思い【魔導工房】からログハウス内に戻ってくる。


「あっ、レイくん、お帰りなさい」


「ただいま、魔獣とかは来なかった?」


「はい、魔獣は来なかったので大丈夫でしたよ……それよりもその腕はどうしたのですか? さっきまでは無かったですよね」


「うん、ちょっと新しい能力を手に入れた代償みたいなものかな」


「代償……それは大丈夫なんですか?」


「ああ、その辺は大丈夫だと思うよ。ただ、この模様が消えるかは分からないけど」


「それは龍の模様ですか?」


 テレーザさんは血龍印をじっくりと見てきたのだが……


「うん、血龍印っていうらしいんだけど……見られるとちょっと恥ずかしいかな」


「そうですか? 私はかっこいいと思いますよ、レイくんにピッタリです!」


 ぐふっ……


 自分は中二病が似合っているって事か?


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