第364話 海辺 ②
自分は【ストレージ】内にある何種類かの水着を取り出し、テレーザさんに見せることにした。
「私は1種類だけかと思っていましたが、いろいろな種類があるんですね……しかもセンスがいいです……これって本当にレイくんが選びました? もしかしてエレナが選んでないですか?」
「えっ? ああ、買ったのは僕だけど選んだのはエレナだよ。それにしても僕が選んでないってよく分かったね?」
「私と同年代位の女の子が好きそうな柄が多いですから、多分エレナが選んだんじゃないかなと思いました。コーデリアさんやシンシアさんは好きそうな服のタイプが違う気がしましたし、やっぱりエレナかなって」
「凄い洞察力だね……」
テレーザさんに着替えをしてもらうためにログハウスを取り出し、自分は砂浜にタオルを敷いて寝転がる。
適度に心地よい日差しと海の波音、爽やかな風……
今は【スカウトフォート】に帰らなくてはいけないという絶賛トラブル中だけど、なんかひさしぶりにゆったりと出来ている気がした。
たまにはこうして何も考えずにのんびりするのも良いかもしれない……
………
でも、やっぱりセシリアがうまくやってくれているか不安だな。
基本的にはセシリアに任せておけば大抵のことは大丈夫なんだけど、たまにセシリアは予想外の行動をするからちょっと心配だな。
せめて少しでもセシリアと【魔素通話】が出来たら良かったんだけどな……
……
「レイくん?」
少しうとうとし始めたところで、水着に着替えたテレーザさんがしゃがんで自分の事をのぞき込んでいた。
「ああ、ごめんね。ちょっと横になったら気持ち良くなって眠りそうになっちゃったよ」
「ふふ、レイくんはいつも忙しく何かをしている感じですから、たまにはゆったりするのも良いんじゃないですか?」
「あはは、そうかも……それよりも水着はピッタリみたいだね。とても可愛いよ」
テレーザさんの選んだ水着は胸元にリボンがついたビキニタイプを選んだみたいだ。
ちなみにこの水着だけは自分の好きなタイプだったので、セシリアに似合うかなと思って自分が唯一選んで買ったやつだったりする。
まさかテレーザさんがそれを選んでくれるとは思わなかったけど、テレーザさんにも似合っていたので、用意していて良かったなと思った。
「ありがとうございます! それじゃあ、少し海に入りましょう!」
「うん、どんな生き物がいるか分からないから、浅瀬のところで遊ぼうか」
この世界の海にどんな生き物がいるか分からないのは怖いなと思ったので、深いところに行くのはやめにした。
もしかしたら即死級の猛毒を持った生き物がいるかもしれないからね……
「分かりました!」
それから2時間程だけど、テレーザさんといろいろ遊んだら結構疲れてしまったので、自分は先にギブアップして砂の上に横たわった。
テレーザさんもブラットやエレナと一緒でもの凄い体力おばけなので、同じペースで遊ぶと自分の方があっと言う間に底をついてしまうんだよな……
でもたまにはこういう息抜きをするのも良いかなとも思った。
ここ数日は見知らぬ土地にテレーザさんと2人だけで警戒していたので、ジワジワと精神的に疲れていたんだよな。
自分は目を瞑り、波の音を聞いているとリラックスしたのか、少し眠りについていた。
「レイくん、そろそろ起きないと風邪をひいてしまいますよ?」
「……あっ、寝ちゃてた?」
「はい、ぐっすりと……だいぶ疲れていたのかもしれないですね」
「そうかもね……さてと、海はこれくらいにして、これからどうしようか?」
「草原に戻るか、海辺を進むかですか?」
「うん、個人的には大きめな街に行きたいから、草原に戻る方が良いかなと思っているんだけど、どうかな?」
この世界にも港町はあるのだろうけど、陸地に比べると圧倒的に少ないと思ったので、草原に戻った方が大きめな街に行ける可能性が高いかなと考えていた。
「私もそれでも良いと思います」
自分達はまた草原に戻る事にした。
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