第363話 海辺
見知らぬ土地に飛ばされて3日が経過した時、ずっと草原だった景色に変化が訪れた。
あれは……湖?
【魔導球】で偵察していたら湖っぽい場所を発見する。
「テレーザさん、湖があるかも」
「湖ですか!? 早く見に行きたいです!」
テレーザさんは湖と聞いたらテンションが一気に上がり、すぐに行きたいとぴょんぴょんと跳ねていた。
……なんだかウサギみたいで可愛いな。
「湖って見るのは初めて?」
「はい学校に通っていれば湖に行く機会もあったかもしれないんですけど、タイミングが悪くて行けなかったんです……」
「そうなんだ、僕も行ったのは1回だけだから【王国】に住んでいたら湖にいける機会は少ないか……」
前世では遠足などで湖は何回も行っていたから、この世界で初めて見に行った時は嬉しいって感覚はなくて懐かしいなという感覚が強かった。
「……あれ?」
「どうしたのですか?」
最初は巨大な湖かなと思ったけど、近づくにつれて勘違いしている事に気がついた……
「これは湖じゃなくて海かな」
「海!?」
「うん、磯の香りも漂ってきてるし、多分海だね」
「レイくん! 早く行きましょう!」
テレーザさんはさっきよりも更に元気になり、海へ向かって走り出してしまったので、自分も仕方なくテレーザさんの後を追うようにして走り出すことにした。
少し走ると視界一面に広がる海が見えてきた。
この世界の海ははじめて見たな……
「レイくん凄い大きさです!」
「うん、凄い広さだよね」
「レイくん……海でちょっと泳ぎたいんですけど、良いですか?」
「安全なら良いんだけど……海には魔獣はいないのかな?」
魔獣って基本的に動物が【魔素】に侵されて変化したのではないのかなと思っているけど、海だとどうなるのかな?
「魔魚や魔海獣ってのがいたはずですが詳しくは分かりません……」
「やっぱり海にも魔獣に似たようなのはいるんだね……なら浅い場所で良ければ泳ぐ?」
多分、名前からして海でも浅いところには危険な魔海獣みたいなのは出ないんじゃないかな?というのと、自分やテレーザさんは基本的に武器を装備しなくてもある程度は戦えるから、泳いでいる最中に敵が来ても大丈夫かなと思ったのだ。
あと、問題があるとすれば……
「ちなみにテレーザさんはどうやって泳ぐの?」
「えっ、それは水着を……あっ!?」
「普通、いきなり飛ばされたから水着なんて無いよね……しかも、今着ている服はテレーザさんの【クリーン】で綺麗になっているけど、乾かすとなると……」
「うう……残念ですが諦めます……」
テレーザさんはガックリと肩を落として、ちょっと可哀想だな……
水着とかがあれば……ん?
自分はあることを思い出し、テレーザさんの身体をよく見てみる……もしかして、いけるか?
「ど、とうしたんですか? 私の身体をジックリと見たりして?」
「あ、いや、ごめんね。もしかしたらテレーザさんならセシリアの服や水着が着れるんじゃないかな?と思ってね」
「セシリアさんの服?」
テレーザさんは10歳にしてはかなりスタイルが良いから、もしかしたらセシリアの服が着れるのでは?と思ったのだ。
「あと1回も着ていない服だから安心してね。買うだけ買ったんだけど、セシリアは常にメイド服で必要が無いから【ストレージ】に入れっぱなしだったんだよ」
テレーザさんよりセシリアの方が背やいろいろな場所が大きいから服を着れるかは疑問だけど、水着は着れるだろう……
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