第359話 初戦闘 ②
自分とテレーザさんは魔犬3匹と戦い始めた……最初は魔犬2匹を足止めするのに成功していたけど、魔犬のスピードが自分達の予想を超えて早かったため、魔犬2匹がテレーザさんの方に向かってしまった。
しかし、最初に向かった魔犬とは多少の距離があるので、テレーザさんが最初の魔犬を素早く倒せれば大丈夫かなとも思っていた。
パァッン!!!
「えっ!?」
突進してきた魔犬に正拳突きの様な構えから繰り出されたテレーザさんの突きが眉間に当たると、凄い音を出しながら魔犬の頭は弾け飛び、力無く魔犬は倒れた。
テレーザさんは魔犬の頭が弾け飛んだ事にビックリして動きを止めてしまっていた。
「テレーザさん! 危ない!」
「あっ……」
棒立ちになっていたテレーザさんに向かって、2匹目の魔犬が襲いかかろうとしていたので、自分はとっさに全力の【魔導弾】を魔犬に向かって撃ち出していた。
しかし、そこそこの距離があるのでいくら全力の【魔導弾】でも、テレーザさんが襲われる前に届くのは無理か……?
パァーーン!!
「えっ」
自分の撃ち出した【魔導弾】は普段の数倍はあるだろう速度で魔犬に向かって飛んでいき、魔犬を爆散させていた。
えっ、なに、あれ?
スピードも速すぎるし、威力も段違いに上がってる?
確かに自分の想像していた威力より、数倍の威力が出ればテレーザさんみたいに棒立ちになってしまうかもしれないな……
「レイくん、ありがとうございます! 次はしっかりやるので、魔犬を解放して大丈夫です!」
「了解!」
自分は【魔導壁】により全方位を囲って足止めしていた最後の魔犬である1匹を解放する。
そうすると魔犬はテレーザさんへとかなりのスピードで一直線に走り出していく。
やはりウエストエンド地方の魔獣はイーストエンド地方よりも多少は能力が高いのかもしれないな……
まあ、それは自分達も同じみたいなので、全ては濃密な【魔素】が影響しているのかもしれない。
最後の魔犬はテレーザさんが後ろ回し蹴りにより動きを止めた後に眉間を殴った事により、また頭が爆散して倒していた。
2匹目の魔犬は少し危なかったけど、3匹目は1匹目同様に一撃であっさりと倒す事に成功していた。
自分の【魔導弾】で全てが爆散してしまった2匹目は死体を回収出来ないが、テレーザさんの倒してくれた2匹の魔犬は念のために【ストレージ】に収納しておいた。
もしかしたら必要になることがあるかもしれないしな。
「それにしても……【魔素】が濃いせいだとは思うけど、身体能力や【魔法】の威力が予想以上に上がっていて、ビックリしたね……」
「そうですね……ちょっと【魔力】で【身体強化】しただけの攻撃で魔犬の頭が爆発してビックリしてしまいました……レイくんが助けてくれなかったら危なかったかもしれないです」
「僕の攻撃も予想以上に威力があってビックリしたし、仕方ないよ。それにテレーザさんが無事だったから問題ないよ」
「ありがとうございます」
「だけど【魔法】を撃ち出した時の感覚からして、アレほどの威力が出るのは不可解なんだよね」
「私も同じです……」
現状では何故あれだけの威力が出たのか、調べようがないので街に到着したら再度調べてみるのがいいかもしれない。
ちなみに自分の場合は周囲の【魔素】を【魔導】に変換している関係で、本来なら【魔素】が濃くなっても【魔導操作】がやりにくい事があっても威力が上がるはずはないのだけど……それもいろいろ検証してみないと分からないな。
「この辺に生息する魔獣が、あれくらいの魔犬なら問題ないかもね。他の生き物はほとんどウサギやシカ、トリみたいな動物ばかりだし」
「そうですね、冒険者なら食材には困らなさそうな気はします……あっ、私は動物を捌いたりしたことが無いのですが……レイくんは出来ますか?」
「ああ、多少は捌くのを教わったけど、あまりやりたくはないかな……ちなみに食糧は数ヶ月分はあるから安心して良いよ。僕もあまり動物を捌いたりしたくないから【ストレージ】内にあるものから食べていこうかなと思っているよ」
マギリさんから動物の解体法は習ったけど、自分が捌くよりプロに任せた方が効率的かなと思って、魔犬は全て【ストレージ】内に入れていた。
「本当にレイくんの【ストレージ】は便利ですね! でもよく数ヶ月分の食糧を保管していましたね?」
「うん、たまたまセシリアショップ用のものとスキルの実験に使ったやつが大量にあったんだよ」
半日近く草原を真っ直ぐに歩いてみたけど、街はおろか道すら発見出来なかったので、今日は諦めてログハウスに泊まることにした。
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