第355話 魔眼暴発 ③
自分達は森を少し進み、目的地である広場に到着していた。
ここでペンザエモンさんが護衛をしてくれている間にフレイザードさんがジェーンさんの両眼に付けている【魔導具】を外し【魔眼】を一時的に抑えている間に、自分がジェーンさんに【吸魔の呪面】を装着させた後に【魔導】を流し、【魔導具】を発動させる計画である。
「レイくん、準備は良いかのう? ジェーンの【魔眼】を抑えていられるのは最大でも5分だと思うのじゃ、じゃから4分半を過ぎたら残念じゃが中止にするのじゃ」
「はい、大丈夫です」
【吸魔の呪面】をジェーンさんに被せて【魔導】を流す動作は3秒あれば出来るはずだから、4分半も使うことは無いだろう。
「よし、いくのじゃ!」
フレイザードさんがジェーンさんの【魔導具】を外した瞬間、抑えている筈なのに背筋が凍る様な寒気がしたが、自分は迷わずに【吸魔の呪面】を被らせて【魔導】を流し始める。
ここまで2秒ほどだったのだけど、自分達が予想していなかった事態が起こってしまう。
それは発動しても良いはずの【吸魔の呪面】が発動しなかったのだ……
「レイくん! 【魔導】がしっかりと流れていないのじゃ!」
「そんなっ!? あっ、流している【魔導】が消されてる感じがします!」
「くっ、【消失】の【魔眼】を完璧に抑えられていないのじゃ……レイくん、危険じゃが【魔導】を全力で流し込むのじゃ! ペンザエモン、抑えるのを手伝え!」
ジェーンさんの【魔眼】を抑える為にペンザエモンさんも加わり、必死で抑えている間、自分も普段はやらない無限に近い全力の【魔導】を流し込む。
自分が全力で【魔導】を流し込むこと2分位が経過した時、自分達が予想していなかった人の声が聞こえた……
「レイくん! なにをしているんですか!? 【魔力】が暴発寸前ですよ!?」
「えっ、テレーザさん? 何でここにいるの?」
なぜテレーザさんがここに?
確かカーラ先生と一緒に魔獣狩りに……ってこの森が狩り場だったの!?
テレーザさんは自分を心配して近寄ってくるのだが、今はジェーンさんに集中しなくてはと思い直し、【魔導】を流す事に集中する。
「レイくんが何をしているのかは分かりませんが、やりたい事は何となく分かったのでお手伝いします!」
そう言うとテレーザさんは自分の腕に手を当てて、【魔力】の幕みたいなモノを腕周辺に展開する。
「誰かは知らないが凄いのじゃ!」
テレーザさんのサポートにより、自分の【魔導操作】は劇的に効率が良くなり、全力で流ししていたものが数倍に膨れ上がった感じになる。
そして、3分位が経過したところでやっと【吸魔の呪面】が発動してくれた。
【吸魔の呪面】はフレイザードさんとペンザエモンさんが2人がかりで抑えていた【魔眼】の力を一気に吸収し、消えていくのだが……
「成功したのかな?」
「うむ、ジェーンの【魔眼】が無効化されて【魔導具】も透明になったのじゃ……」
今まで両眼を隠していたジェーンさんの素顔を初めて見たけど可愛らしい感じの……
「むう!? この【魔導】は!?」
突然、自分達がいる中心付近に膨大な【魔導】が出現した。
そして、その【魔導】は一番近くにいたテレーザさんに向かってゆらゆらと移動していったのだが、あまりに膨大な【魔導】の為か、フレイザードさんやペンザエモンさんは硬直していた。
しかも、テレーザさんには見えていないのか、周りをキョロキョロと警戒はしていたが、逃げる気配は無かった……
「テレーザさん、危ない!!」
「レイ殿!? 危ないでござる!?」
自分は膨大な【魔導】からテレーザさんを守る感じで間に入ったが……
「えっ?」
ペンザエモンさんの声と共に自分の視界が暗くなったと思ったら、意識を手放していた……
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