第354話 魔眼暴発 ②
そろそろ目的の森に入ろうというタイミングで、ペンザエモンさんに話しかけられる。
「レイ殿、ここから先は魔獣のレベルが上がるのでジェーンさんの近くにいて欲しいでござる」
森に入る前までは魔犬や魔狼など、自分でも倒せるレベルの強さの魔獣だったけど、ペンザエモンさんの話では魔熊や亜種の魔竜がたまに出る危険な森らしいのだが、危険な森の方が仮に事故が起きても一般人を巻き込む被害が起こりにくいからという理由らしい。
「分かりました、ペンザエモンさんとかなら魔竜は楽に倒せるんですか?」
「そうでござるな。魔竜は竜種の中では弱い部類だから苦戦することは無いでござる、流石に天竜クラスになると我が輩だけでは苦戦するでござるが、フレイザード様がいれば大抵の敵には対応出来るでござる」
「フレイザードさんは凄いんですね」
フレイザードさんはペンザエモンさんより強いのか……
森に入ってからは魔狼などが大量に出現したが、ほとんどペンザエモンさんが瞬殺してくれるので、自分達の後ろには血の道が出来上がっていた。
「うむ……フレイザード様、流石に魔狼の数が多すぎるでござる……」
「それは思っていたが、今のところ原因が分からないのじゃ」
さっきから頻繁に魔狼が出るから、流石は危険な森だなと思っていたけど、やっぱり普段よりいっぱい出現してるんだ……
「ジェーンさんは大丈夫?」
ジェーンさんは眼を隠していて見えないので、自分が手をつないで歩いているのだけど、魔狼が出現する度に肩がビクッとなっているので、やっぱり怖いのかなと思った。
「は、はい。緊張はしてますが大丈夫です」
「やっぱり見えないから怖い?」
「いえ、ペンザエモンさんやレイくんがいるので怖くはないです。ただ、私の【魔眼】を一時的だとしても解放してしまうのがとても怖いです。以前はそうでも無かったのですが、今では【魔眼】の能力が上がり過ぎて完全に制御が出来ていないのを実感出来てしまう位なんです……」
「そうなんだね……」
まだ子供なのにいつ死ぬか分からない上に、制御が出来なければ他人を巻き込んでしまうっていうプレッシャーは自分には想像出来ないレベルで辛いんだろうな……
「だから他人に迷惑をかける位ならひとりで死にたいとも思ったのですが、フレイザード様から生き残れる可能性があるならチャレンジしなくては勿体ないと言われて、レイくんの【吸魔の呪面】を試す決意が出来たんです」
「そっか、なら必ず成功させて今まで苦労した分を取り戻さないとね。僕もジェーンさんが【魔眼】から解放されるために全力で手助けするよ」
「ありがとうございます……」
「そうだ、今回の【吸魔の呪面】が成功したら何をしたい?」
「何をしたいかですか?」
「うん、多分だけど【吸魔の呪面】が正しく機能すれば、ジェーンさんは【魔眼使い】ではなく普通の女の子になれる筈なんだよね。まあ、【魔力】も消えちゃうだろうから大変な事も多いかもしれないけど、昔にやりたかった夢とか無いの?」
「夢ですか……それでしたらみんなが笑顔になれる料理を作りたいです」
「そう言えば舞演祭のときも料理はやりたいって言ってたっけ。なら将来はセシリアショップで働かない?」
「セシリアショップですか?」
「うん、僕がオーナーのカフェでね……」
自分はジェーンさんにセシリアショップの事をいろいろ教えてあげるのだった。
ジェーンさんみたいなお客さんの笑顔が見たいって人は料理人に向いていると思うから、将来には是非一緒に働けたら良いなと思った。
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