第353話 魔眼暴発
ジェーンさんに【吸魔の呪面】を試す日。
今日は学校が休みの筈なのにカーラ先生とテレーザさんは外出する準備をしていた。
「今日はふたりで出かけるんだね?」
ふたりで出かける風景は初めて見たので、珍しいなと思って聞いてみた。
「はい、今日はカーラさんと一緒に街周辺の魔獣退治に連れて行ってもらう予定なんです」
「本来はまだテレーザ位の歳だと魔獣狩りは薦められないが、テレーザには早めに強くなってもらいたい理由もあるからな、学校が休みの時は定期的に街の外で鍛える事にしたんだ」
「そうなんだ、僕も頑張らないといけないな……」
自分の周りにいる子供は何故か成長が早いから、ちょっと油断するとあっさりと勝てないレベルになっているから、常に油断が出来ないと思う。
「マスター、そろそろ時間です」
「レイくんは何をするんですか?」
「えっ、ああ……【魔法具】のテストみたいなものかな?」
「……また変なものを作ったんじゃないだろうな?」
「今回は人助けになるものなんで大丈夫ですよ」
呪面ってくらいだから怪しくはあるけど、わざわざカーラ先生に話すと話が紛らわしくなるので、ぼかして伝えておく事にした。
「怪しいな……」
「カーラさん、早く行きましょう!」
「ああ、分かった。レイ、問題は起こすなよ?」
カーラ先生はテレーザさんに引っ張られる形でリビングを出ていった、何かとテレーザさんに助けられている気がするな……
それから自分はセシリアと別れて、【魔眼協会】へと向かった。
セシリアは一緒についてこようとしたけれど、買っておいて欲しいものがいくつかあったのと、フレイザードさんやペンザエモンさんがいるので護衛の心配はないという理由で断った。
それからフレイザードさんやペンザエモンさん、ジェーンさんと合流したあと、すぐに姿を隠す【魔導具】を使いながら極秘裏に街を出て、【吸魔の呪面】を試すための森に向かった。
こそこそ隠れて街を出る必要があるのかな?と少し思ったのだが、【認証の指輪】が無いので下手したら捕まるらしい。
そう言えば、ピクニックに行った時は代表だけ【認証の指輪】をかざすだけで通れたな……
「【スカウトフォート】は冒険者の街というだけあって出入りが頻繁にあるから審査が簡略化されているでござるが、外出の時はレイ殿も気を付けるでござるよ?」
「分かりました……気を付けますね」
うーん、街の出入りまで気を付けないといけないのか……
やはり【認証の指輪】を誤認させるような魔導具を作りたいな……しかし、問題は自分の【認証の指輪】は機能していない飾りだと言うことだ。
「【認証の指輪】があれば研究出来るんだけどなぁ」
機能している【認証の指輪】があれば、複製は無理でも誤認させる位は出来るんじゃないかなと思っていた。
「レイくん、【認証の指輪】が欲しいのかい?」
「えっ、はい。あればですけどね……」
「未使用品の【認証の指輪】ならいくつかあるのじゃ。ホレッ!」
「あっ、っと!」
フレイザードさんは気軽に鞄の中に手を突っ込み、ひとつの【認証の指輪】を取り出したと思ったら投げてきた。
「えっ、何で持っているんですか?」
「それは知らない方が良いのじゃ……でもレイくんの場合は再度装着しても無効化されてしまうだろうから、装備はしない方が良いのじゃ」
「分かりました、ありがとうございます」
「うむ! 他にも欲しいものがあれば聞くのじゃ、もしかしたらあげられるものがあるかもしれないのじゃ」
帰ったら研究しようと思い、【認証の指輪】を【ストレージ】にしまうのだった。
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