第352話 カーラ先生の授業

 自分は明日行われる【吸魔の呪面】をジェーンさんに試す結果が気になりすぎて授業に集中出来ないでいた。


【ハンタースクール】の授業は知識系などが2割、実技関係が4割、ダンジョン攻略が4割位になっているので基本的には身体を動かすものが大半だったりする。


 しかし、今日は王国の歴史を学ぶ授業で楽だなぁと思いながら聞いていた。


【スカウトフォート】で学ぶ歴史は、多少の有名人物を紹介したり、有名な冒険者を紹介するものだった。


 前世の授業みたいに大量の人物名を暗記しなくて良いのは非常に助かるなと思った。


「この国で一番有名な冒険者パーティーは分かる奴いるか?」


 カーラ先生も普通に授業すれば割と分かりやすい授業をするんだけどなぁ、見た目が脳筋っぽいからまともな授業をしていると違和感しかなかった。


「はい! 私は【デスロード】だと思います!」


【デスロード】って物騒や名前だなぁ……


「そうだ、現在冒険者のパーティーランクでは【デスロード】が最強だと言われていて、現在の依頼達成率は99%だそうだ。他の有名な冒険者パーティーだと【トラネコ】や【十剣】などがある。おまえ等も目指すならこのレベルのパーティーを作れるように頑張れよ」


「「はい!」」


【デスロード】のネーミングセンスも大概だけど、【トラネコ】って……


【デスロード】はリーダーの規格外の剣士と死神の様な回復魔法師、紅蓮の魔法師、鉄壁の戦士、謎の暗殺者の構成になっているらしいのだが、最近は構成を真似して五人編成にしているパーティーが増えているらしい。


【トラネコ】は獣人のみで構成されたパーティーで虎の獣人と猫の獣人しかいないから【トラネコ】というパーティー名らしい。


 獣人族のみで編成すると、獣人族は【魔法】に弱いと言われいる理由から、獣人族は半分以下にすると言うのがセオリーらしい。しかし、エレナを小さい頃から見ている自分としては獣人族が【魔法】に弱いという話自体が疑問しかなかった。


【十剣】は剣士五人組のパーティーで、全員が特殊な剣士らしいけど、詳細は不明らしい。


「カーラ先生! カーラ先生が今言ったパーティーと戦ったらどうですか?」


「昔に【十剣】のリーダーと戦った時があるが、あっさりと負けてはっきり言って勝負にならなかった。それほどまでに隔絶した強さがあると思った方がいいな」


「どうすれば強くなるんですか?」


「やり方はひとそれぞれだが、【ハンタースクール】では素の身体能力を上げたり、ダンジョン攻略をして戦闘経験を増やす方法を採用しているが、他の学校ではスキルの使用頻度を上げていったりするのもあるから、興味があれば教えてやる……」


 クラスメイト達はカーラ先生の話に集中しているな。


 しかし、カーラ先生の言う素の身体能力と戦闘経験数で言えばエレナやブラットは既に実践しているからあれだけ強いって事かな……


「あとな、簡単に強くなれるって噂があるかもしれないが、私の生徒なら絶対に手を出すなよ? 簡単に強くなれる手段はいくつかあるかもしれないが、大半がすぐに身を滅ぼすからな……分かったな?」


「「はい!」」


 最後はカーラ先生が強めの【魔圧】を発動させたみたいで、クラスメイト達のほとんどはビクッとなりながら返事をしていた。


 しかし、カーラ先生がクラスメイト達にこんな話をするのは予想外だった。もしかしたら、カーラ先生の情報網にも【覚醒薬】が出回ってきているって話がどんどん入って来ているのかもしれないな。


 この日、カーラ先生の実技授業はいつも以上に厳しくなった気がした……



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る