第351話 それぞれの道
【コーデリア視点】
私はシンシアと共にレイ達から離れ【レイクハート】に向かっていた。
私達が故郷のエルフの里から【チェスガン】に来たときは、馬車を乗り継いだり宿屋を探したり、馬車がほとんど走っていないエリアは歩いたりとかなり苦労した記憶があるのだけど、マリア様との旅は全てが事前に用意されていて、馬車は豪華だし宿泊施設も豪華な部屋が用意されていたりと、苦労する場面は一切なかった。
「なあ、マリア。お前の本当の目的はこの少女だったんだろ? なんで私に教えないんだよ」
「それは、あなた達【魔王】に話したら強引に話を進めるでしょ?」
私はマリア様に【レイクハート】の【マリア学園】に転校を薦められたのだけど、なんとシンシアはこの【魔王】アミル様経由で【レイクハート】に行くことになったのだ。
「それはそうだろう、私達はそういうものだからな。だがシンシアみたいについて来てくれたやつもいるんだから失敗ばかりじゃないだろ?」
「はぁ……それを言われると困るけど、シンシアさんは本当に良かったの?」
「はい、私も、コーデリアと、一緒で、強くなり、たかった」
「アミルの報告を聞く限りだと、シンシアさんは10歳にしてはかなりの素質があるって聞いたのだけど、それでもまだ強くなりたいの?」
「パーティー、メンバーとして、足手まといに、はなりたく、ないから」
「あの強さが有りながら足手まといになるって10歳のパーティーってどんな凄いところなんだ? 【スカウトフォート】は【レイクハート】よりも遙かにレベルが高くないか?」
シンシアの話はレイ達がいるから、足手まといになるというだけで、一般的なクラスレベルよりは高いのは自覚しているけど、ここでレイの話をすればレイにも迷惑がかかるかもしれないという理由で、シンシアと話し合った結果、レイやエレナ、ブラットの名前は言わないことにした。
「今年が当たりだっただけじゃないかしら? 【マリア学園】のレベルは平年並みかちょっと低い位らしいわよ」
「そうなのか。なら……」
「そう言えばアミル様、シンシアはどこの学校へ行くのですか?」
話題が【ハンタースクール】になりそうだったので、話題を逸らすことにした。
あとはシンシアの話ではどこに転校するとか聞いていなかったらしく、今のうちに聞いておきたいというのもあった。
「シンシアは学校に転校なんてしないぞ?」
「「えっ!?」」
シンシアは学校に転校しない?
私はアミル様の発言にびっくりしたのでシンシアやマリア様の方を見るけど、お互いが驚いている表情なのでみんな知らなかったのだと分かった。
「ちょっと、アミル! シンシアさんを転校させないってどういう事よ?」
「さっきも言ったとおり、【レイクハート】にある学校はあまりレベルが高くないんだよ。なら【スカウトフォート】にいるより強くなるにはどうするか?」
「まさか……」
「ああ、私たちは定期報告の会議に向かっているし、ちょうど良いだろ?」
「あの……話が分からないんですが?」
マリア様はアミル様が何を言っているか理解しているみたいだけど、私とシンシアは全く理解出来なかったので、マリア様に聞いてみた。
「つまりは、明日にはほとんどの【魔王】や【聖人】が集まる会議があるから、その中でシンシアさんの教育担当を決めてしまおうって事よ」
「流石はマリアだな。よく分かってるじゃないか」
「だけど、誰も手を挙げなかったらどうするのよ? アミルが教えるの?」
「その心配はないさ。必ずシンシアを育てたいって言う奴がいるからな」
アミル様は楽しそうに笑いながらそれ以上の事は教えてくれなかった……
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