第345話 織機と蜘蛛達
自分はテレーザさんと織機の販売店に来ており、手動と自動のどっちを買うか迷っていたけど、結局は手動の織機を買うことにした。
内心では両方買いたかったけど、自動の織機は思っていた以上に高価なものだったので、当初の目的である神素材を生産するのを優先したのだ。
それに手動の織機を自分なりに作り替えれば、【魔導具】として将来的には全自動の織機が作れるかなとも思っていた。
「いやぁ、マギリさんの紹介だったから随分と値引きしてもらっちゃってラッキーだったなぁ」
手動の織機は【ストレージ】に収納したので、自分とテレーザさんは帰りにカフェでお昼を食べてからカーラさんの屋敷に戻る事にした。
「そう言えばレイくんは布地を作って服を作るんですか?」
「それもあるけど、一番の目的は【魔法具】の作成かな」
「布地で【魔法具】? 聞いた事が無いのですが、可能なのですか?」
「僕の予想通りなら多分、可能だよ」
通常、【魔法具】は【魔力】の伝わりが良いとされる金属類で作成した骨組みに【魔石】を動力源としてはめ込み、家電なら外側を硝子や木材などで覆うものだし、武器も同じで基本的には金属に【魔石】をはめたものになる。
しかし、神素材は【魔力】の伝導率が高いと思われるので予想通りならば【魔導具】の基礎として作れると思う。
あとは【魔石】の代わりになるものを作らないといけないのだが、それも多分解決出来ると思っていた。
「レイくんは強いのに【魔法具】まで作れるなんて凄いのね!」
「まあ、僕の強さの大半は全身を武装しているからってのが大きいから、【魔法具】を作れたからってのが大きいかな」
未だに自分の身体能力は学校内でも底辺レベルだと思うが、【魔眼】や【魔導】、【魔導具】のおかげで何とか上位陣に食らいついていけていると思っている。
「そうなんですか? 私に勝った時に使ったあのスキルなんかは凄いと思いますよ? あれを使われたら私はレイくんにずっと勝てる気はしないです」
「あのスキルは諸刃の剣みたいなもので、使える条件とかもシビアだからいつでも使える訳じゃないんだよ。あっ、これは秘密でね?」
あのスキルはテレーザさんにしか見せていないから、いざという時だけに使おうと思っている。
「はい! 分かりました!」
あれ? なんかテレーザさんとの秘密が増えている気がするな……
カフェでお昼を食べた後は購入した織機を設置するために、蜘蛛達がいる物置の部屋にふたりで向かったのだけど、部屋の光景を見てびっくりしてしまった。
「レイくん、あれって昨日の蜘蛛達だよね?」
「う、うん。その筈ではあるけど……」
目の前にいる生き物?は蜘蛛の筈なんだけど、昨日までここにいた蜘蛛達とは全く違う姿になっていた。
「なんかフワフワしていてぬいぐるみみたいで可愛いですね!」
「確かに可愛いんだけど……これは生き物なのかな?」
蜘蛛と思われる生き物は昨日よりも更に大きくなり、10cm位のぬいぐるみみたいな身体に細くて短い足が生えていた。
しかも、セシリアが追加で用意していた巻き糸の芯には全てが綺麗に糸が巻かれていた。
この蜘蛛達は異常に仕事が速くて優秀だなと思ったら、蜘蛛達が喜んでいるようなのと、餌が欲しいです!っていう思いが伝わってきた。
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