第342話 魔王との邂逅 ②

【シンシア視点になります】


 私は【魔法具】屋のおじさんがお店の奥から持って来たお薦めの【魔法具】を見てせくれた。


「お嬢ちゃんにお薦めの【魔法具】は、この3つかな」


【炎竜の杖】 火属性の【魔法】効果を増幅させる杖。

【魔振動反射リング】 振動効果を付与出来るリング。

【魔炎狼の牙】 魔炎狼の炎ブレスを使う事の出来る牙。


「これって、値段が、書いてないん、ですけど……?」


 私の高い【魔力】を更に生かすには高価な【魔石】をはめ込んだ【魔法具】が良いらしいんだけど……これって凄く高い【魔法具】なんじゃないのかな?


「【炎竜の杖】が120万、【魔反射振動リング】が60万、【魔炎狼の牙】が45万だよ」


「え、高い……」


 私が貯めているお金を全て使えば【魔振動反射リング】位はギリギリ買えるかもしれないけど、故郷への仕送りとか生活費、冒険時の消耗品代など使わなくちゃいけないものがあるから、それを考えるとどれも厳しいかな……


「やっぱり子供には無理だよね。でもお嬢ちゃんのレベルだとこのクラスの【魔法具】は欲しいと思うよ。逆にその年齢でそこまで凄いのもびっくりだけど、学園でも成績は上位なんじゃないのかい?」


「私より、凄い、生徒は、いっぱい、いる……だから、もっと、強くなりたい」


 クラスでは真ん中よりちょっと上かもしれないけど、レイやブラット、エレナに並ぶレベルになりたい私としては、今のままでは差は開くばかりなきがしている。


「……それはまた、今年の【ハンタースクール】は凄いんじゃないのかい。しかし、どうしたものかね」


「もっと、お金を、貯めてみます……」


 とりあえずはお金を貯めないと【魔法具】で強くなるのは無理だって分かっただけでも【魔法具】屋に来て良かったかなと思い、帰ろうとした。


 バンッ!!


 勢い良くお店の扉が開いたので反射的に扉の方に視線を向けると、私よりは大きいけど同じ位の年齢かな?と思わせる女の子が立っていた。


 しかし、なぜだかこの女の子が怖いと思ってしまった。


 確かに顔が怖いってのもあるかもしれないけど、それだけならカーラ先生の方が同じ女でも顔は怖いと思うけど、この女の子の場合は説明する出来ない怖さがあった。


 そして、私が女の子をじっと見てしまったからか、女の子は私の方へ真っ直ぐに歩いてきた。


 えっ!?


 もしかして、絡まれる!?


 今日はレイやコーデリアがいないのに……ひとりで何とか出来るのかな……?


 いや、ここはお店のおじさんに助けを……えっ!


 私がおじさんの方へ視線を向けると、おじさんの身体は痙攣でもしているみたいにガチガチと震えており、今にも倒れそうな青ざめた顔色をしていた。


「おい、お前が名前は何て言うんだ?」


「え、わ、私は、シンシア……」


「シンシアか、お前はよく私の【威圧】に耐えられたな? 近くで不思議な【魔力】を感じたから来てみたが、当たりかもしれないな」


「な、何の、話ですか?」


【威圧】とか、不思議な【魔力】って何の事だろう?


「まあ、自覚が無いのは仕方ないだろうな、シンシアはこの街で何してるんだ? 学生か?」

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