第341話 魔王との邂逅
【シンシア視点】
舞演祭の前日……
私はコーデリアとはひさしぶりに別行動していた。
私が極度の人見知りというのもあり、普段はほとんどコーデリアが一緒に居てくれていたのだけど、今日は【マリア学園】の偉い人と極秘で会わなくてはいけない事になったと言っていた。
どうも前日のピクニックに行った時に【精霊魔法】を使えるという事が【マリア学園】の偉い人の耳に入ったみたいだった。
私達の部族でもコーデリアは特別な存在だったから、やっぱりコーデリアは凄いんだなぁと思った。
才能で言えばきっと私よりもコーデリアの方が高いだろうから、レイやコーデリアと同じレベルで冒険者になるには更なる努力が必要だろうなぁ……
レイは今のまま成長すれば大丈夫だって言うけれど、私としては足を引っ張っているとしか思えないのが辛かった。
そんな訳でせっかく今日は1人なので、【魔法具】屋に向かっていた。
【魔法具】ならばレイに頼んだ方が凄い性能のものを用意してくれそうだけど、まずは1人で頑張ってみたいと思った。
【魔法具】屋に来るのは初めてだけど、きっと大丈夫……
お金はレイみたいにそんなには無いけど、もし良い【魔法具】があればお金を貯めないとなぁ。
「いらっしゃい、お嬢ちゃんはうちの店に来るのは初めてだよね?」
お店に入ると気さくな感じのお兄さんが話しかけて来てくれた。
「はい、初めて、です……」
うう……やっぱり初めての人と話しをするのは緊張するなぁ……。
「どんなのを探しているか教えてくれれば準備するよ」
「えっと、強くなりたい、から……」
「なるほどね、お嬢ちゃんの制服は【ハンタースクール】だから冒険者になるために強くなりたい訳だな」
「は、はい」
「お嬢ちゃんの【職種】はなんだい? 詳しく言いたくなければ系統だけでも良いよ」
「火属性の、【魔法使い】……」
「ふむふむ……良かったらお店の裏庭に【魔力】測定する【魔法具】があるんだけど、試してみるかい?」
「お願いします……」
私はお兄さんと一緒に裏庭へ向かうと、そこには何種類もの的や【魔石】の様な石などがあった。
そしてお兄さんは、いくつもある【魔法具】の中から水晶球っぽいものを私に渡してくれた。
「この【魔法具】は両手で持って、水晶経由して体内を循環するイメージで【魔力操作】をすると総【魔力】量や【魔力操作】のレベルが測定出来るものなんだけど、【魔力操作】は出来るかな?」
「うん、大丈夫……」
【魔力操作】ならば、レイに言われて重要性を教わった低学年の時からずっと練習してきたから、大丈夫。
私はお兄さんから水晶球を受け取り、言われた通りに循環させる様に【魔力操作】をすると、水晶球が赤く光り出した。
「おお、お嬢ちゃんは実は凄かったんだね。学生でここまでの【魔力】量はなかなか見ないよ? ここまでのレベルだと……多分大人が使う【魔法具】じゃないとあまり効果がないから、値段がだいぶ高くなるかもしれないね」
「やっぱり、高い、ですか?」
お金は足りるかな……?
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