第337話 蜘蛛の巻き糸
自分とテレーザさんは変質した真っ黒な蜘蛛達の作る真っ白な巻き糸を手に取り、びっくりしていた……
「綺麗な糸ですね……しかも【魔力】を帯びた糸なんて初めて見ました」
「確かにキラキラしてるね、しかもサラサラしていてこれで布を作ったら気持ちよさそうだね」
蜘蛛達が作った糸を触ると強度は分からないけど、肌触りは極上だった。
「この前言ってましたけど、レイくんが糸から布を作るんですか?」
「その予定だよ」
本来は蜘蛛の糸から巻き糸を作るのもやる予定だったけど、蜘蛛達が巻き糸を作ってくれていたので非常に助かっていた。
「どうやってこの糸から布にするんですか?」
「うーん、僕もそこまで詳しくは無いんだけど、簡単に言うと織機ってもので縦糸と横糸を交互に織り重ねていく感じかな」
「何か楽しそうですね、織機は買うんですか?」
「どこに売ってるかすら分からないけど、もし売ってるならどんなものか見てから考えようかな……」
多分、織機はそんなに複雑な構造ではないだろうけど、出来れば手作りで自動の織機を作りたいとは思うけど、それだと神素材にはならないと思うんだよね……
だから手作りにはなるけど、極力簡単に作れて高品質なものが出来る織機を作りたい。
「ならまたマギリさんに頼むんですか?」
「うん、とりあえずマギリさんに頼んで織機を売っているお店があるなら紹介して欲しいと思ってるよ、それにしても蜘蛛達は随分と姿が変わったな……」
元々の蜘蛛達は身体が小さかったから質感は分からなかったけど、現在の蜘蛛達の表面は生き物と言うよりはぬいぐるみみたいな感じだなと思った。
ちょっと押してみるとビーズクッションみたいに多少の反発はあるけどすぐに戻ったりしていた。
「なんというか、この蜘蛛さん達はかわいいですね」
「確かにかわいいかもしれないけど、蜘蛛だよ?」
「でも蜘蛛のぬいぐるみだと思えば、部屋にあっても有りだと思いますよ」
蜘蛛達はテレーザさんのかわいい発言を理解しているのか短い脚でピョンピョンと跳ねている個体がいた。
もしかして蜘蛛達も会話が分かるのか?
いや、流石に気のせいだろう……
「お前たちがもっとぬいぐるみっぽいなるのなら部屋に入れても良いかもしれないな……」
カサカサ……
ん?
何か……蜘蛛達から頑張ります!って聞こえた気が……
「いや、疲れてるのかな?」
「今日は皮の加工をして疲れたんじゃないですか?」
「そうかもしれないな……でも、もうちょっとやりたいことがあるんだよね」
「レイくんはたまに何か焦っている表情をするときがあるんですが、私で良ければ相談にのりますよ? 私なんかで答えられるか分からないですけどね」
テレーザさんは天使の様な笑顔で微笑んでいた。
「ありがとう、テレーザさんのその笑顔を見るだけで落ち着く感じがするよ」
「えっ!? そ、そんなゃ、いたっ!」
「だ、大丈夫?」
「うう、すいません。ちょっと舌を噛んでしまいました……」
「セシリアに回復させようか?」
「いえ、大丈夫です! 私は【天翔翼】により自己再生能力が高いので、この位の傷はすぐに治っちゃいます!」
「え? そうなの?」
聞けば聞くほどテレーザさんの【天翔翼】はエレナの【野生の勘】並にチートスキルな気がしてきたな……
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