第336話 皮のなめし

 自分はマギリさんから数日前にお願いしていた皮のなめし方法を教わりに、マギリさんの知り合いが経営している皮業者の作業場に来ていた。


 そして、魔狼の死体から加工された毛皮にするまでを習ったのだけど……ちょっとこれは厳しいなと思った。


 何故かというと、一枚のなめし皮を作るまでの手間が凄く大変で、自分の目的である大量に加工したときに、たまたま神素材が出来上がるのを狙うにしては非効率だなと思い知ったからだ……


 自分のイメージでは皮のなめし方法は、もっと簡単かなと思ったんだけどなぁ。


「皮のなめしはどうでしたか? 予想以上に大変だったのではないですか?」


 作業場からマギリさんと一緒に帰る途中に、自分の疲れた顔を見て質問してきた。


「予想以上に大変でした……」


「それにしてもレイさんは何故皮のなめしを習いたいと思ったのですか?」


「ああ、服や装備を作る素材を自分で集めたいなと思って、皮以外にも糸の巻き取りとかいろんな加工方法を学んでみたいと思ったんですよ」


「それはまた……なんというかやり終えるまで壮大な道のりですね……」


 ひさしぶりにマギリさんがびっくりした表情を見たなと思ったけど、普通に考えたら大変なのかな?


「出来たらですけどね……」


 極めるまでは出来なくても【魔導】と【素材の極み】を使えば何となく、良さそうな装備が出来そうな気がする。


「それではレイさん、ほかに何か学びたい事があれば私に聞いてみて下さい。もしかしたら今日みたいに手助けを出来るかもしれません」


「ありがとうございます、何かあれば相談させてもらいます」


 屋敷に戻ったあと、蜘蛛の様子を見に行こうとしたらひょっこりとテレーザさんが付いて来た。


「レイくん、物置に行くんですよね? ならついていきたいです!」


「まあ、良いかな……」


 何となくテレーザさんは【テイム】に関しては今後も関わってきそうな気がしたので仕方ないかなと思っていたので一緒に物置に向かった。


 そして、自分達は蜘蛛達がいる部屋に入って、目の前に映った光景が衝撃的だった。


「えっ?」


「レイくんが蜘蛛達に命令していたんですか?」


「いやいや、そんな事はしてないから僕もびっくりしてるくらいだよ……」


 まず何にびっくりしたかと言うと、蜘蛛達の見た目は全く違う系統なんじゃないかと思えてしまう変わっていた。


 どう変わったというと、見た目は真っ黒で身体が10倍位に膨れ上がっていて、それでいて脚の長さは極端に短くて生物としてはどうなんだろう?というバランスに変化していた。


 次にびっくりしたのは、次来た時の為にセシリアに巻き取り芯を用意しておいて貰ったのだけど、既に巻き糸が大量に出来上がっていたのだ。


 最初はセシリアが作ったのかな?とも思ったけど、部屋の端っこで何匹もの蜘蛛達が身体から出した糸を交互にカサカサと動いてしっかりとした糸を作っていたのだ……


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