第335話 舞演祭の後で

 舞演祭の最終日である3日目が終わった日の夕方、自分とテレーザさんはエレナに会う為に踊り子達の待合室に来ていた。


 踊り子達は出番が終わり次第、片づけをさっさと終わらせて団体事に打ち上げをやりに行こうとしている感じだった。


「レイ、テレーザ。見に来てくれてありがとうにゃ~」


 待合室でエレナを発見したら、向こうも気が付いたみたいで、嬉しそうにこちらに向かってきた。


「エレナ、踊ってる姿が格好良かったよ! 昨日は直前までエレナが参加するなんて知らなかったからびっくりしたよ!」


「エレナ、良かったですよ。来年は私も参加したいと思いました!」


「ふたりともありがとうにゃ~! テレーザには話していたけど、レイには驚かそうと思っていたにゃ」


「エレナが踊りをやってる事自体知らなかったから、かなり驚いたよ」


「にゃはは、踊りは昔から練習していたけど、レイに見せる機会は無かったからにゃ。舞演祭はちょうど良いかにゃと思ったにゃ~」


 エレナはその後、踊り子達の団体と一緒に打ち上げをするため、自分達とは分かれていった。


 エレナの無邪気な笑顔をひさしぶりに見たなと思った……


「この街って踊り子が踊りを発表する場ってあまりないのかな?」


「そうですね……私もこの街の事をしっかりと把握は出来てないですが、私の知る限りだと、夜の飲み屋にある舞台くらいですかね」


「なるほど、そう言う場所にはエレナみたいな子供は行けないから、発表する場がほとんど無いのか……」


「多分ですが、そうなりますね」


「そっか……」


 何かそう言う踊り子が活躍する場って無いものかな?


「どうしたのですか、レイくん?」


「エレナみたいな子供の踊り子が活躍する場所を何とか出来ないかなって思ってね……」


「そう言う場所があれば私も素敵だとは思いますけど、私達子供には難しいんじゃないですか?」


「そうだよね……ん? いや、僕なら可能かもしれないな……」


 自分にはカーラ先生から無償提供してもらっている土地があるし、舞台を作るのは問題ない……


「セシリア、セシリアショップを改築しても大丈夫かな?」


「はい、どのレベルで改築するかによりますが、マスターの考えている舞台を拡張するぐらいの木材は大丈夫です。もし足りなくても森で手に入れるのは難しくはないと思います」


「よし、ならセシリアショップの改築をしてみようか」


 本当はもうセシリアショップは完成しているけど、あまりに早く完成するとどうやって建てたか怪しまれるから、オープン日を2ヶ月後位にしているからちょうど良いかもしれない。


「分かりました」


 その後、自分でセシリアショップの飲食スペースを拡張して、数人が踊れる位の舞台を作るための図面を書き、それをセシリアに渡すのだった。


 既にセシリアは図面さえ渡しておけば、自分のイメージ通りの建物を作れる位の技術を習得していた。


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