第333話 ジャスティスマスク ②
【ジャスティスマスク視点】
俺が魔王配下の街をいくつか壊滅させていたら、ついに魔王の方から俺を倒しに来てくれていた。
「貴様が怪しげな破壊者か……確かに上半身裸に金色のマスクに赤いマント……怪しさしかない見た目だな」
「お前が魔王なのか? 今までのやつよりは強そうだが、見た目が弱そうだ……しかし、魔王は会話が出来たんだな。他のモンスターとかはよく分からない言語を話していて意味が分からなかったぞ」
「いかにも私は【傲慢】のガルン、貴様を拘束しに来た者だが、貴様は今、滅ぼしてきた人類を……モンスターと言ったのか?」
ガルンと名乗る魔王は前世で言うタキシードみたいな服を着た青年で、【傲慢】と名乗るにしては身体は細身で、俺が全力で殴ったらあっと言う間に骨が折れてしまいそうで、強そうには見えなかった。
本当にこんな奴が魔王なのか?
そして、何故かガルンは俺のモンスター発言が気に入らないのか、非常に怒った表情になっていた。
「モンスターをモンスターと言って何が悪い。それとも魔物って言った方が良いのか? 俺からしたらどっちでも良いんだけどな」
「貴様っ!? まだそんな事を言うか!」
ガルンは俺の発言で更に怒ったのか、いきなり突進してきた。
「ほう、見た目は細いのにスピードは素晴らしいな……しかし、勿体ないな……お前には筋肉が足りない」
ドゴンッ!!
「なっ!? 耐えただと……!?」
俺はあえてガルンの攻撃を回避せずに、正面から受け止める事にした。
ガルンの右は俺の腹筋を殴ったのだが、俺は鍛え抜かれた腹筋に力を込めてガルンの攻撃を受け止めた。
予想よりは痛みがあったが、耐えられないレベルの痛みでもない。
こんなやつが魔王だなんて……
俺達はこんな弱いやつらに支配されていたと思うとショックを隠しきれなかった……
「こんなものか? 出し惜しみしていると死ぬぞ?」
「くっ……」
今度はガルンが至近距離からの蹴りや殴りを連続して繰り出してくる。
しかし、どれも先ほどの攻撃と同じく耐えられない痛みではなかった。
やっぱり、これがこいつの全力なのか?
「本当の殴りっていうのは、こういうものを言うんだよ!!」
「グハッ!!?」
俺は全身のバネを使った右ストレートをガルンの顔面にクリーンヒットさせると、ガルンは盛大に吹き飛んでいった。
「くっ、何故……【傲慢】のスキルが効かない……」
「スキル? 【傲慢】のスキルとはなんだ?」
ガルンは【傲慢】のスキルさえ通用すればとブツブツと話していたのが気になってしまった。
「我々【魔王】にある【大罪】スキルの事だ」
「お前で言い方だとゲーム的なスキルがあるように聞こえてくる」
「ゲーム的? 貴様の方こそ何を言っているか分からないが、【傲慢】スキルが効けば貴様のスキルを無効化出来るのになっ!」
ガルンは再度、俺に向かって単調な攻撃を繰り返してくる。
こいつは戦いの経験が少ないのか?
いや、魔物の親玉なのだ話が出来たとしても所詮は低知能なのかもしれない。
「さっさと【魔王】を倒して世界を平和にするか」
「仮に私を倒しても【魔王】はあと6人いる……その誰かが貴様を倒してくれるだろう……」
「は? 【魔王】はあと6人もいるのか?」
【魔王】が複数いるなんて聞いてないぞ……
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