第332話 天翔眼
自分はテレーザさんの目の前で蜘蛛の【テイム】を始めたが、スモールグレーキャットの時より【魔導】の操作が繊細で苦戦していた……
スモールグレーキャットの場合は身体の構造が多少なりとも理解出来ているから、人に【魔導】を流す感覚と似ていたが、蜘蛛に【魔導】を流す感覚は全く別物だと初めて分かった。
しかもセシリアの用意してくれた蜘蛛は全長10cm位の小さめな蜘蛛だったので、流す【魔導】の量も微量にしなくてはいけないというものだった。
「ふぅ、少し休憩しようかな……」
「レイくんお疲れ様です、やっぱりレイくんの【魔力】は特殊ですね」
「テレーザさんの【天翔眼】はそんな事も分かるんだ?」
テレーザさんの話しを聞いていると【天翔眼】は【魔眼】の上位版じゃないかと思えるほど便利だなと思う。
「はい、体内外の【魔力】の流れをよんで、行動予測するのが【天翔眼】です」
「行動予測出来るなんて戦闘に関しては無敵に近い能力だね」
「そうですね、でも欠点もあるので常に使うことは出来ないので無敵には程遠いかもしれないですね」
「なるほどね……ちなみに【魔力】が特殊だと、どんな風に見えるの?」
自分の【魔眼】だと分かるのは相手の【魔力】量や属性位で、今まで人に対して特殊だなと思う事はあまりなかった気がする。
「説明は難しいのですが……例えば【魔王】様だと禍々しい負の方向性とか、コーデリアさんなら清らかな正の方向性みたいな感じですね。そして普通の人だと負か正かのどちらかにちょっと傾いている様に感じます」
「コーデリア?」
テレーザさんの話し方だと【魔王】の対極にコーデリアがいるみたいな感じを受けるけど、何でここでコーデリアが出てくるのかな?
「やっぱりレイくんは気付いてないのですね」
「えっ? 何に?」
「コーデリアさんには【聖人】の資質があり、シンシアさんには【魔王】の資質があるんですよ。とは言っても資質があるだけなら多分、全世界にはたくさんいると思いますから【聖人】や【魔王】になるとは限らないのでふたりには話してないですが……」
「ふたりに【聖人】や【魔王】の資質が……?」
予想外の話しにちょっと混乱してきた……
「今はまだ内緒にしておいた方がふたりに変な意識をさせない為にも良いかなと思います」
「う、うん、そうするよ。」
「レイくん大丈夫ですか?」
テレーザさんは自分の動揺した雰囲気を察したのか、心配してくれる……あまり動揺しているのは良くないかなと思って笑顔を作る。
「大丈夫だよ、それで僕の【魔力】も特殊だとか言ってたけど、どんな感じなの?」
「レイくんの場合はなんというか無ですね」
「無?」
「はい、イメージで言えば透明とかそんな感じですかね」
「そんな風に見えるのか……」
もしかしたら、【魔導】を使う人はみんな自分みたいな【魔力】の感じなのかもしれないなと勝手に納得してしまった。
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